大阪大の研究グループは8日までに、血液がんの一つ、急性骨髄性白血病(AML)の患者に適用できる新しい免疫細胞療法を開発したと発表した。骨髄移植などを受けた後に再発して亡くなるAML患者は多いが、実用化されれば救える可能性があるという。研究成果は国際学術誌のオンライン版に掲載された。
免疫細胞療法は、患者の血液や他人の臍帯(さいたい)血から、がん細胞を攻撃する免疫細胞を採取し、体外で増殖させた上で患者に投与する。急性リンパ性白血病や悪性リンパ腫の治療では実用化されているが、AMLでは実現していない。
研究グループは、AML細胞の抗体を約1万4000個作製し、その中から他の細胞を傷つけずAML細胞だけを攻撃する抗体を発見。これをもとに遺伝子を改変して、がん細胞を攻撃するT細胞やナチュラルキラー(NK)細胞を作製、増殖させることに成功した。がん細胞を移植したマウスで実験したところ、6匹全てが140日間生き残った。
大阪大免疫学フロンティア研究センターの池田峻弥特任研究員は「現在、医師主導治験の準備を進めており、臨床での治療効果が期待できる」と話している。グループは、年間150例程度が対象になるとみている。
