印パ、テロ受け対立再び激化=外交、発砲で応酬

 【ニューデリー時事】インド北部の観光地パハルガムで26人が犠牲となったテロから29日で1週間がたった。現場のカシミール地方はパキスタンとの係争地。インドはパキスタン政府がテロを支援したと断定し、幾度となく戦火を交えてきた両国の対立が再び激化している。
 「全てのテロリストやその指令役、支援者を特定、追跡し処罰する。地の果てまで追い詰める」。インドのモディ首相は24日、東部ビハール州での演説でそう声を張り上げた。
 犯行を主張したのは、パキスタンに拠点を置くイスラム過激派「ラシュカレトイバ」(LeT)の関連組織とされる。インドは事件後、国境閉鎖や、両国にまたがるインダス川の水資源利用協定の履行停止などの報復措置を発表した。
 主な水源を同川に頼るパキスタンにとって、協定の履行停止は死活問題。政府は事件への関与を否定し、声明で、下流域国の権利を侵害する行為には「全力で対処する」と警告した。対印貿易停止といった手段で対抗した。
 パキスタンのダール副首相兼外相は中国の王毅共産党政治局員兼外相や英国のラミー外相らと相次いで電話会談。「インドの違法な行動や根拠のないプロパガンダ」を非難し、自国の立場への支持を訴えた。
 インドメディアによると、事実上の国境となっているカシミール地方の実効支配線一帯では印パ両軍が連日、相手の駐屯地などに向け発砲を繰り返している。緊張が高まる中、海上ではインド海軍が対艦兵器の発射訓練を実施した。
 インドがさらなる強硬手段に打って出る可能性もある。モディ政権は2019年、カシミール地方で治安要員約40人が死亡したテロの報復として、パキスタン側のイスラム過激派拠点とされる地点を空爆した。パキスタンのハワジャ国防相はロイター通信のインタビューで、「インドの軍事侵攻が差し迫っている」と危機感をあらわにした。
 インド陸軍防空連隊の元司令官プラシャント・ジャ氏は、インドが今後テロ首謀者らを標的にした限定的な軍事作戦を行うと予測した上で、「大規模な戦争は必要なく、実行可能な選択肢では全くない」と語った。 
〔写真説明〕28日、カシミール地方のインド側中心都市スリナガルで警備に当たる同国の治安要員(AFP時事)

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