
【オタワ時事】カナダで28日、下院(定数343)総選挙が投開票され、中道左派の与党・自由党が第1党を確実にし、マーク・カーニー首相(60)の続投が決まった。関税措置や併合案で威圧するトランプ米政権への対応が焦点となる中、カーニー氏の対米強硬姿勢が支持され、中道右派の最大野党・保守党の猛追を振り切った。
選挙戦は事前予想以上の接戦となり、自由党の単独過半数獲得は微妙な情勢だ。29日午前4時(日本時間同日午後5時)時点で、自由党168議席、保守党144議席、地域政党のケベック連合23議席、左派の新民主党(NDP)7議席、緑の党1議席と予測されている。
少数与党となれば、法案可決に野党の協力が必要となり、カーニー氏は難しい政権運営を迫られる。カーニー氏は29日未明、首都オタワの集会で勝利を宣言。「トランプ大統領はわれわれを支配しようとしている」と改めて強調し、国民一丸となって対応していくため「過去の分断と怒りに終止符を打とう」と呼び掛けた。
トランプ氏は28日、SNSにカナダが米国の「51番目の州」となれば「いいことばかりだ」と改めて投稿した。カーニー氏は対米依存脱却のため、日本をはじめとするアジアや欧州諸国との関係強化を進める意向だ。
〔写真説明〕29日、カナダの首都オタワで勝利集会に臨むカーニー首相(AFP時事)