
クラブ契約フリーの西郷真央が、ミズノ製アイアンでメジャー制覇の快挙。この活躍に日本人が盛り上がる中、さらに少し嬉しいニュース。ミズノの企画担当者から「今年に入ってからアメリカでアイアンシェアの伸びが凄いです。『JPX925ホットメタル』シリーズが売上1位を獲得しました」と、聞いたのが少し前のこと。しかも、時期は今年1月と2月! ピン・キャロウェイ・テーラーメイド・コブラなどの新作が発表される通常なら“地獄”の時期に、なんと二ヶ月連続でアイアンシェアの1位になったとか。
昨年9月に日米同時発売された“去年の秋モデルアイアン”なのに、なぜ並み居る海外ブランドの最新アイアンを打ち倒せたのか? 改めてアメリカのクラブ市場に詳しい同社のグローバルプロダクト担当・青木智明氏に背景を聞いた。
■「フィッティングツール」の影響大
青木氏によれば、昨年9月の発売時に売上1位になれなかったのは「アメリカ市場は1、2月にモノが動く」傾向が強いことも大きいと言う。日本だと発売したばかりが最も売れて、徐々に勢いを失うのが普通だが、値下げやツアープロ訴求も全くせずにゴルフデータテック調べの売上1位になった理由は「フィッティングツールの影響が大きい」と青木氏。
「元々売れる素地として数年前から『ホットメタル』シリーズは【鋳造モデルなのにやさしく飛ばせて、しかも打感もかなり良い】とアメリカで市民権を得ていたことも大きいです。その効果もあってコロナ禍の後も年間シェア10%以上を達成して伸びては来ていて、去年もシェア12%強だったのですが、いよいよ今年に入り14~15%まで急加速した理由は『フィッティング』ですね。
新作が出揃うこの時期はそもそもお店の来店客数が増えますし、アイアンに興味のある人がフィッティングを要望すると、店員さんが弊社のフィッティングツール『シャフトオプティマイザー3D』を自動的に使ってくれることが大きいです。その先には、ミズノのヘッドが付いているので『このアイアンいいね!』と試打で気づいてもらえたことが大きいですね」(青木氏)
■アメリカの環境面も大きい
このツールの導入店数にも日米で違いがあり、日本では400店弱に過ぎないが、フィッティングが浸透しているアメリカは国土も広く2200店以上が導入。精度よく簡易に推奨シャフトを絞れるため客の納得・満足度も高く、他社アイアンでの【シャフト探し】目的も含め、店員の間で「アイアンフィッティングには欠かせないツール」になっていた。
「アメリカでは『シャフトオプティマイザーだけは受けた方がいい』と口コミされていることもあり、売り場でもツールが目立つ陳列にするお店も多いです。それに、アメリカは日本より遥かにコース併設のプロショップも多い。そこで生芝の上から、球の上がり方や止まり方、抜けの良さまで確認できる環境があるため、ツールを活用した『フィッティング』がより効いてきますよね。
あとは、推奨シャフトの組み合わせが表示されるのはあくまでミズノ側の推奨なので、他社にはない組み合わせが表示されることの影響もあるかもしれません。しかも、ミズノの場合、異なるグリップやシャフトでもアップチャージなしで購入できるメリットもあるので、お客様的には最後の一押しとしてミズノを選ぶ利点を感じて頂けるのではないかなと」(同)
ちなみにシリーズ中の人気は『JPX925ホットメタル』>『同PRO』>『同HL』の順番。そして、競合モデルとの現地での価格差だが、PGATOUR SUPERSTOREのEC価格表示で、テーラーメイド『P790』が¥ 233,500、ピン『G440』が¥ 157,300~209,500、キャロウェイ『ELYTE』が¥ 125,100~225,200で、ミズノ『JPX925ホットメタル』は¥ 175,100~200,100となっていた。
値引きが理由でなく、本当に『フィッティングツール』がミズノ人気の理由なら、今後も日本のアイアンの全米シェアがどんどん上がっていく一方!?