
千葉県は2025年2月7日、「都市軸道路 利根川橋梁(仮称)新設事業」に関する公共事業事前評価自己評価調書を公表し、意見募集を開始しました。利根川の「新たな橋」の建設計画がついに動き出します。
ついに具体化なるか? 「都市軸道路」の利根川架橋
千葉県は2025年2月7日、「都市軸道路 利根川橋梁(仮称)新設事業」に関する公共事業事前評価自己評価調書を公表し、意見募集を開始しました。利根川の「新たな橋」の建設計画がついに動き出します。
「都市軸道路」は、埼玉県三郷市から千葉県を経て茨城県つくば市を結び、つくばエクスプレス(TX)にほぼ並行する道路です。3県を連携する広域的な幹線道路としてだけでなく、TX沿線のまちづくりの基盤をなしています。
2023年11月には江戸川に「三郷流山橋有料道路」が開通して埼玉・千葉県境区間が結ばれ、2024年7月には茨城県内区間が延伸して守谷市からつくば市まで全通を果たしています。ほかにも各所で延伸・改良事業が進められており、事業化されていないのは千葉・茨城県境の利根川架橋のみとなっています。
今回の区間は千葉県柏市と茨城県守谷市を結ぶ3.5kmで、千葉県側の取付部約1.6km、渡河部約0.9km、茨城県側の取付部約1.0kmで構成されます。
このうち渡河部については、2005年のつくばエクスプレス開通に合わせて、鉄道と道路の一体下部工(橋脚)として整備されており、鉄道の両側に道路用の橋のスペースがすでに確保されています。完成すれば鉄道と道路の「併用橋」になります。ただしその下部工は「暫定2車線整備では補強不要、完成4車線では補強が必要となる見込み」だそうです。
千葉県柏市と茨城県守谷市周辺の利根川渡河部は、一般道の橋の間隔が最大で約13kmも空き、限られた橋梁に交通が集中していることから、慢性的に混雑が発生しているといいます。都市軸道路の橋が整備されると、柏市~守谷市の所要時間は41分から29分へと12分短縮されるそうです。
また、すぐ近くに並行する常磐道とのダブルネットワークが確保され、茨城県側に位置する常磐道の守谷SAに予定されているスマートICを通じて、災害時や渋滞時の代替路として機能するとされています。
開通は「18年後」そのワケは
都市軸道路 利根川橋梁の全体事業費は約498億円。建設費(C)に対して得られる社会的便益(B)を試算した費用便益比(B/C)は「1.3」と試算され、便益がコストを上回ることから、「事業着手が妥当」と評価されました。
千葉県道路計画課によると、国庫補助事業の採択を受け、2025年度にも事業着手したい構えだといいます。
なお、事業期間は「18年」つまり開通は「2043年」に設定されています。
同課は「河川の中の区間の下部工はすでにできていますが、その前後の橋梁部分(取付部)は、何も無い状態からつくっていくため」、事業期間を18年に設定したと明かしました。取付部も真ん中に鉄道を挟む構成となるものの、下部工は鉄道とは別々になります。
ちなみに、有料道路事業の導入などは予定されておらず、暫定2車線での開通までで18年の想定だそうです。