
どこにもないオリジナル串かつが名物の寿司店『遊食酒家 かねSushi』/名古屋エリア限定グルメ情報(10)
名古屋で串かつといえば、味噌串かつを思い浮かべるだろう。
では、大阪はどうだろうか?
豚肉に限らず、海老や野菜を揚げたものを串かつと呼び、バットに注がれたソースに浸して食べる。
二度浸け禁止のルールも有名だ。
このように、串かつは地域によってさまざまなものが存在する。
そんななか、名古屋市中川区草平町の閑静な住宅街にある寿司店『遊食酒家 かねSushi』の串かつがジワジワと人気を集めている。
寿司店なのに串かつ!?と、ツッコミたいのはヤマヤマだが、とりあえず、ご主人に話を聞いてみよう。
「前は南区で7年半やってたんだよ。今の場所に移ったのが平成14年。当時は回転寿司店が増えてきて、普通の寿司店では難しいと思った。
寿司=高級というイメージを払拭したくて、居酒屋風にしたんだ。
串かつはサイドメニューとして作ったんだけど、いつの間にか名物になっちゃった。何しろ、どこにもないからね。今では寿司よりも人気だよ(笑)」
と、店主の兼岩忠信さん。
揚げる前の串かつを見せてもらったが、衣が付いているので中身がよくわからない。
ただ、串を見ると、何やら文字が書かれている。
自慢の串かつは1種類ではなく、数種類あるようだ。
どこにもない串かつとはいったい何なのか?まったく想像ができない。
こちらが完成した串かつ。
どこをどう見てもフツーの串かつ。
「食べてみたら違いがわかるから。あ、ソースはつけなくていいから」と、兼岩さん。
では、お言葉に甘えて、いっただきまーす!ん?なっ、何じゃこりゃぁ!?
肉であることは間違いないが、口の中でとろけるような食感。
しっかりと味も付いていて、むちゃくちゃ旨い!
なんと、衣の中身は、居酒屋の定番メニューである豚の角煮。
そりゃ旨いはずだ(笑)。
「とにかくよそと違うものを出したいと思ってね。
豚バラ肉を3日間じっくりと煮込んで角煮を作って、
それに衣を付けて揚げたのがウチの名物『かね煮込み串かつ』(1本108円)だよ」
と、ドヤ顔の兼岩さん。
煮込んだ肉にパン粉を付けて揚げるという、斬新すぎる「煮込み串かつ」はシリーズ化されている。
兼岩さんによると、
「もともとは、ソースの二度浸け禁止の大阪の串かつに対抗しようと、煮込み串かつを作ったんだ。
しばらくは豚の角煮の串かつだけ出していたんだけど、
お客さんから『名古屋なんだから、味噌味はないの?』と言われたんだ。
で、やってやろうじゃないかと(笑)」とか。
写真は右手前から、
前出の「かね煮込み串かつ」(1本108円)、さらに奥へ向かって「煮込み味噌串かつ」「煮込みカレー串かつ」、「カニグラタン串かつ」、「エビチリ串かつ」(各1本172円)。
こちらは写真右手前から左奥へ向かって「名古屋コーチン100%煮込みトマト」、「豚キムチ」、「ギョウザ」、「ササミメンタイ」(各1本172円)、「かぼちゃクリーム」(1本108円)。
どれもかなり手が込んでいて、リアルな味。
とくに度肝を抜かれたのは、「豚キムチ」と「ギョウザ」。
パンチのある味わいは、ビールやハイボールにぴったり。
思わず、ここが寿司屋であることを忘れてしまいそうだ(笑)。
と、いうことで、最後に寿司を握ってもらった。
兼岩さんは18歳のときに市内の寿司店で修業。寿司職人として30年以上のキャリアがある。
その時季のネタを使った「寿司盛り合わせ」は1,080円と、非常にリーズナブル。
大きなネタの旨みとともに、口の中でほどけるシャリも美味しい。
ご馳走様でした!
遊食酒家 かねSushi
愛知県名古屋市中川区草平町1-32-1/[TEL]052-355-1829/[営]火~土11時半~13時半、火~金18時~23時(22時半L.O.)※土、日、祝は17時~23時(22時半L.O.)/[休]月
永谷正樹(ながや・まさき)
1969年生まれのアラフィフライター兼カメラマン。名古屋めしをこよなく愛し、『おとなの週末』をはじめとする全国誌に発信。名古屋めしの専門家としてテレビ出演や講演会もこなす。