鹿やイノシシなど”ジビエ”を一般の食卓へ クイージ・石崎英治さん①

東京都品川区に、インテリアを主軸にライフスタイルの小売事業などを展開している株式会社アクタスが運営するレストラン「SOHOLM」があります。ここでは、全国の狩猟者が捕獲した鹿やイノシシなどといった”ジビエ”を使った料理を提供しています。

ジビエ

健康食材として注目を集めているジビエですが、食肉としての鮮度や解体処理の方法などの管理が各地域ばらつきがあり、一般の食卓にまだ馴染みがありません。また、ハンターの数が減り始めていくといった新たな問題もあります。
石崎英治さんは、一般家庭にジビエが普及するよう、株式会社アクタスとともに課題解決に取り組んでいます。鹿やイノシシなどの野生鳥獣を中心に、品質や安全性にこだわったジビエの販売や加工品製造などを行っています。今回は石崎さんに、ジビエを使ったビジネスを始めようとしたきっかけや、苦労した点をお聞きしました。

◆100年かけて育てた森林がひと冬で壊滅

石崎さんは、北海道大学農学部にて林業を研究していました。研究対象地は、北海道の森の中でも最も豊かといわれる阿寒湖周辺の天然の森林。天然林といっても原生林ではなく、もともと荒地だったところを人の手で約100年かけて育てた森林です。石崎さんはそこでどのような施業を行った結果、豊かな森林ができ上がったのかを研究しました。研究がまとまり、報告に行ったある冬のこと、当時爆発的に増加したエゾシカによって、豊かな森林の木々は樹皮が剥がされ、その多くは枯れてしまっていました。人の手が100年かけて育て豊かになった森は、増えすぎたエゾシカによって、ほんのひと冬で壊滅してしまったのです。

新得町 鹿の被害

これは北海道の一部だけで起きていることではなく、日本全国で増えすぎた野生動物が農業被害や森林被害、環境破壊を引き起こしているといいます。中山間地においては、こうした農業被害は被害額が拡大し、離農や離村という結果になるなど地方社会の崩壊を招いています。また、地方の問題というだけでなく、都心・東京にとっても重要な問題となりつつあります。都の水源地である奥多摩地域の森林・特に若木に甚大な食害が発生し、水資源への影響が心配されています。尾瀬や富士山麓などにおいても、下層植生の大規模な被害が報告されているということです。

◆「自然と人間の共生」をどう捉えるか

こうした甚大な被害を防ぐためには、野生動物の生息数を人間がコントロールするしかないのだと、石崎さんは強く感じています。生息数をコントロールするための最も効率的な施策は、野生動物を捕獲し、それを活用することです。活用とはコントロールの対象となる野生動物を、有効な自然資源と考え、ジビエなどの食材資源として利用することです。これこそが、本当の意味での「自然と人間の共生」なのだと石崎さんは考えています。

新得町

◆課題は生産量と流通

手間がかかるジビエは一般の肉と比較して高くなり、生産量が安定しないという課題もあります。また、美味しいジビエを食べる機会がないので、一般消費者の手がなかなか出ません。これらの問題を解決するために、食べやすく加工し缶詰(Gibier CAN)で流通させる仕組みを作りました。缶詰にすることで生産量を安定させると同時に、レストラン「SOHOLM」のシェフの監修をもらい、店同様の味を缶詰で実現することができたということです。ブランド卸業者を通さず、ジビエの産地に製造工場を建設することで、消費者にとっては手軽に、生産地にとっては実入りの大きい商流を作ることができるのです。

石崎さんは、ひとつずつ課題を解決し、「自然と人間の共生」を”食”で支えるため、生活者の食卓と「自然」を美味しくつなぐことに、今後も取り組んでいきたいと話します。最近ではジビエを取り扱うレストランも増えてきました。まだ食べたことがないという方は、挑戦してみてはいかがでしょうか。

ジビエ

また、株式会社アクタスによると、今回ご紹介した石崎さんとSOHOLMのレストランシェフが共同で開発したシカ、イノシシをポトフなどヨーロッパの伝統的な煮込み料理にした「GIBIER CAN(ジビエ缶)」を同社が持つストアブランド「SLOW HOUSE」「ACTUS」の一部の店舗、アクタスのオンラインサイトにて販売しているということです。

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externallink関連リンク

「SLOW HOUSE」公式ページ http://www.slow-house.com/ 「ACTUS ONLINE」公式ページ http://online.actus-interior.com/
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