いよいよ開業「第二の黒部ダムルート」 かなりガチな“秘境探検”に! ルート/金額/運行回数は

立山黒部アルペンルートに加えて「第二の黒部ダムルート」となる、「黒部宇奈月キャニオンルート」がいよいよ2024年夏に開業します。いったいどんな交通機関なのでしょうか。

念願の「一般開放」どんな交通ルートなのか

 日本の「秘境地帯」北アルプスを、バスやケーブルカー、ロープウェイ、トロリーバスなど、複数の交通機関を乗り継いで抜けていく観光ルート「立山黒部アルペンルート」。標高3000m超えの立山をはじめ急峻な山脈が連なり、人の進入を拒んできた北アルプスですが、1963年に「黒部ダム」が完成したのを機に、工事ルートを一部活用する形で1971年に誕生しました。  これに加えて、「第二の黒部ダムルート」が2024年夏の開業を控えています。 富山県側にはアルペンルートの北側に、宇奈月温泉から黒部川をさかのぼる「黒部峡谷鉄道」があります。これも工事用ルートを転用したものですが、途中の欅平で終点となり、黒部ダムまでは「関西電力の関係者専用」として、特別な招待枠以外では利用できません。登山客以外は、着いたら宇奈月へ引き返すしかなかったところ、この「関電専用ルート」がいよいよ「黒部宇奈月キャニオンルート」として一般開放されるのです。

 このルートが誕生することで、行き止まりの黒部峡谷鉄道が、宇奈月~黒部ダム~立山という「富山起点の周遊ルート」に組み込まれることとなり、旅行者としては利便性が大幅に向上します。

気になるその内容は…割と「ガチ」だった

 黒部宇奈月キャニオンルートは、まず黒部峡谷鉄道の終点・欅平駅からスタートします。 別のトロッコに乗り換え、目の前のトンネルに入ると、すぐ先に「エレベーター」が待ち受けています。これに乗り換えて一気に200mも上昇。エレベーターの床には線路があり、貨車をそのまま積み込むことも可能となっています。 エレベーターを降りるとトンネルが遥か先まで続いており、別のトロッコで再出発。ここから6.5km、バッテリー機関車に牽引されて、狭い客車のギリギリサイズの狭いトンネルを延々と奥へ進んでいきます。 ハイライトは、当時の工事作業員を苦しめた「高熱隧道」区間でしょう。通過時は実際に蒸し風呂のように暑く、温泉のような匂いもします。現在はトンネルが貫通して空気が通るので、危険な熱さではありませんが、雰囲気を十分に体感できます。 第二のハイライトが、途中でトンネルを抜けて黒部川を鉄橋で横断する「仙人谷駅」です。鉄橋部の「ホーム」はシェルターで覆われていますが、両側は吸い込まれそうな深い谷。上流側には巨大な「仙人谷ダム」がそびえ立っています。大自然と巨大人工物が対峙する、非日常の極みのような絶景。しかし駅には駅名標と時刻表もあり、たしかにここは鉄道風景です。このギャップはここ以外では楽しむことはできないでしょう。 そのすぐ先は、黒部川第四発電所。展示施設では巨大なタービンをはじめ、厳しい自然に立ち向かった土木技術の歴史を知ることができます。

 第三のハイライトは、終点の黒部川第四発電所前駅から乗り換えるケーブルカー、通称「インクライン」です。見るからに異様な急勾配「67.4%」で、まるで絶壁の直登のように、暗闇の中を20分間延々とのぼり続けます。登りきると標高1325mに達します。 のぼりきった「インクライン上部駅」からは、10.3kmにもおよぶ長いトンネル「黒部トンネル」を、電気バスで一気に走り抜けていきます。その先は、長野県側からやってくる電気バスの黒部ダム駅の地下ターミナル。立山黒部アルペンルートとの合流地点です。

開業はいつ?いつから予約開始?いくらお金がかかる?競争率はどれくらい?

 黒部宇奈月キャニオンルートは2024年6月30日が営業開始となります。2024年は、11月29日までの営業です。 旅行会社による旅行商品はまもなく、1月29日から発売されます。ツアー価格はまだ商品が発表されていないものの、公式では、1泊2日でホテル代や立山黒部アルペンルートの帰路も全て込みで「13万円程度」とされています。 営業期間中は、毎日1便は運行されます。1便あたりの定員は20人です。 おもに水曜と木曜は、早い時間にもう1便が運行されます。こちらは1便あたり30人です。 この期間中で参加できる総人数は、ガイドやスタッフを含めて8180人。これが開業初年の「総定員」となります。 いままで倍率があまりにも高く「幻のツアー」と言われていた関電専用ルート。依然として「取り合い」にはなりそうですが、行けるチャンスは今までより格段に高くなります。

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