救急車の「ピーポー」はいつから? 導入当初は“優しい音” 優しすぎて「負けてしまう」の懸念も

救急車のサイレン音といえば「ピーポーピーポー」ですが、この音、いつから使われ始めたものなのでしょうか。実は過去に消防車と差別化された歴史があります。

最初は耳ざわりがよいと評判だった!?

 救急車を要請するのに、近所迷惑になるといった理由から「サイレンを鳴らさないで来てほしい」という声が近年増え、多くの消防当局がサイレンの必要性を訴えています。ではその「ピーポーピーポー」というサイレン、いつ頃からこの音なのでしょうか。  実は1960年代後半にこの音が出るサイレンが開発されて以降、とある理由で定着していくことになります。

 今のような音のサイレンを開発したのは大阪サイレン製作所でした、当時、救急車のサイレンは消防車と同じ「ウー!」という音だったそうで、救急車だけが出動したのにも関わらず、消防車が出動したと思った地元の消防団員から、自分たちも出動するべきか、消防署に問い合わせるケースが多かったそうです。 そこで、当時大阪サイレン製作所の社長だった上岡淑男氏は、急病人や重傷者を運ぶ救急車が消防車と同じサイレンでいいのかという疑問を持ち、実際にフランスで耳にした緊急車両の警音機の音を参考として1966年に考案したのが「ピーポーサイレン」。その名の通り電子音で「ピーポー」と鳴る装置でした。 神戸市で試験運転が行われたこのサイレンは、「ソフトで耳ざわりがよい」と評判になり、1969年には神戸市の全救急車に搭載され、1970年には正式に救急車用のサイレンとして定められ全国的に普及していくことになります。東京消防庁には1970年の4月26日に導入されました。当時の新聞には「従来のけたたましいサイレンとくらべて患者の不快感が少ないとわかり、採用に踏み切った」と書かれています。 ちなみに、このサイレン改変に関しては好意的な意見だけではなかったようで、当時の読売新聞には懸念を示す投書もあります。自動車の排気音やカミナリ族(暴走族の前身)が鳴らすけたたましい爆音に、優しい音のサイレンでは負けてしまうとのことで、「いまのサイレンでさえ聞く耳を持たない者が多い車の渦の中に、やさしい静かな音がする緊急自動車が走ったらどうなるだろう」と不安視していたようです。 2023年現在はその“優しい”サイレン音であっても、前出のように「うるさい」「近所迷惑だ」との苦情が寄せられ、一部の自治体では法律で定められた範囲内で低音モードにできる救急車の導入がなされるなど、大きく変わっています。

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