フルーツはいつ食べる? 『朝は金、昼は銀、夜は銅』ってどういうこと?

執筆:山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー)
医療監修:株式会社とらうべ
フルーツは健康や美容によい栄養素を摂取できる食品として、私たちの食生活に浸透しています。
ところで、ヨーロッパには「朝のフルーツは金、昼は銀、夜は銅」ということわざがありますが、これは本当でしょうか?
今回は、フルーツを食べるタイミングとカラダへの効果について考察します。
フルーツには栄養がたっぷり
実際にフルーツにはどのような栄養素が含まれているのでしょうか。
フルーツの種類による違いもありますが、共通して含まれるおもな栄養素をご紹介します。
糖質
エネルギー源になる栄養素です。
糖質の中でもブドウ糖や果糖、ショ糖などが含まれています。
ご飯やパンなどの主食に含まれる「でんぷん」に比べて分子が小さく、吸収されやすいという特徴を持っています。
そのためエネルギーへの転換が早く、消化の負担も少なくなります。
カリウム
カリウムは体内の水分量を調整する働きをします。
余分な水分を排出し、浮腫みの予防や解消、高血圧の予防に効果的とされ、積極的に摂取したい栄養素の一つです。
また、カリウムは水に溶けやすい性質がありますので、生で食べることが多いフルーツで摂取するのは効率的といえます。
ビタミンC
皮膚の土台であるコラーゲンを作り、紫外線対策にも効果を発揮するビタミンCは、美肌を維持するために必要不可欠な栄養素です。
鉄分の吸収率を高める作用もありますので、貧血の予防にも効果的です。
また、ストレスに対する抵抗力を強めるため、仕事や育児に忙しい方も積極的に摂りたい栄養素です。
食物繊維
食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に大別されますが、果物はその両方を含んでいます。
腸内環境を整え、便秘の予防や解消、肌荒れの予防に効果があります。
また、糖質や脂質の吸収を緩やかにしますので、生活習慣病への予防効果も認められています。
ポリフェノール類
身体の老化を促す活性酸素を除去する、抗酸化作用を持つ成分です。
細胞の老化を防ぐほか、殺菌作用や動脈硬化・発がんなどの生活習慣病を予防する働きが期待されています。
また、植物性食品の色素や香り、苦み、渋みの成分でもあるポリフェノール類は、可食部だけではなく皮や種にも含まれています。
できるだけ丸ごと食べるようにするとより効果的です。
フルーツの種類にもよりますが、その他にもビタミンE、ビタミンB群、ビタミンAなどを摂ることができます。
1日に摂りたい目標量
フルーツを摂取する指標はいくつかありますが、厚生労働省と農林水産省が決定した「食事バランスガイド」に果物の適量が示されています。
この指標によると、成人1日200g、幼児(3~5歳)100~200gが推奨されています。
200gのめやす
・みかん、キウイ、桃、柿、バナナ・・・2個
・りんご、なし・・・1個
・いちご・・・12粒
※ジャムや砂糖が添加されたドライフルーツは含みません。
フルーツを食べるベストタイミング
さて、フルーツを摂るメリットがわかったところで、「朝のフルーツは金、昼は銀、夜は銅」と言われる、食べるタイミングについて考えてみましょう。
注目すべきポイントは「糖質」です。
先述のとおり、フルーツに含まれる糖質はエネルギーに変わりやすく、消化の負担が少ないという性質を持っています。
ですから、長い空腹時間を終えた朝のエネルギー補給にはフルーツが適しているといえます。
一方で、フルーツに含まれる糖質のなかの果糖は、脂肪細胞の主成分である中性脂肪に変わりやすいという特徴があります。
よって、一般的に活動量が下がり必要とするエネルギー量も少ない夜の方が、おすすめ度合いは下がります。
つまり「朝のフルーツは金、昼は銀、夜は銅」ということわざは、納得できる順位と言えるでしょう。
ただし、決して夜が悪いというわけではなく、あくまでもおすすめの順位です。
ビタミン、ミネラル、食物繊維など、小分けに摂ると体内で効果的に働く栄養素もあります。
また、夕食後に甘いものが食べたくなったときは、ケーキやドーナツよりもフルーツを選んで、身体によい栄養素を摂ることをおすすめします。
1日の目標量を自分の食生活に合わせて摂ることをベースに、ご説明したベストタイミングも意識しておくと良いと思います。
厚生労働省が実施した「H29年度国民健康・栄養調査」によると、成人の果物摂取量の平均は108.7gで、目標量に対して半分の摂取状況という結果でした。
最近では、皮ごと食べられる・種が少ないなどの品種改良が進み、コンビニやスーパーにはカットフルーツが並び、常備しやすい冷凍フルーツの種類も豊富です。
手軽にフルーツが食べられる環境が整備されてきていますので、ぜひこの機会に、フルーツを食べる習慣を作ってみてはいかがでしょうか。
<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー。
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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