がむしゃらに走り続けた日々 -『好きを仕事にする⑤』兵庫県宝塚市出身 市川祥子さん

兵庫県宝塚市出身、人からは「石原さとみさん似」と言われる市川さんは、美容系の広告モデルからキャリアをスタート、アパレル業界で社会人修行をし、大好きなサッカー業界で念願の仕事をゲット、さらに、渋谷のIT系広告代理店に転身、いまは寿退社され、幸せな家庭生活を送られています。順風満帆にみえる半生ですが、『好きなことを仕事にする』ために数々のハードルを情熱と工夫で乗り越えてきました。

その姿は、就活に悩む大学生はもちろん、人気職業であるモデルやスポーツ界で将来活躍することを夢見る中高校生、「自分の好きなことを仕事にしたい」と考える社会人の方など、誰もが参考とできるヒントに溢れています。「スゴイ人だけど誰もが見習える」、そんな市川さんのキャリアを紹介する5回目のシリーズになります。
(過去記事はこちら→https://www.thenews.ne.jp/detail/155422

大好きなサッカーの仕事を直接するために、モデルを辞めたにも関わらず、まずは「普通の社会人」として学ぼうと、サッカーとは関係なく、しかも「ブラック」と言われるほど厳しいアパレルの会社をあえて選び、「1年で売上トップとなる」という目標を掲げ、自分を磨いた市川さん、目標を達成し、いよいよサッカーの仕事にチャレンジしたいと考えました。

この時に声を掛けてくれたのが、モデル時代、スポーツのラジオ番組のパーソナリティーの仕事で、急な代打ゲストの出演を快く承諾してくれたフットサルのボールやウェアの新興ブランド「SFIDA」を運営する株式会社イミオの方でした。「半年で売上を2倍にする」ことを約束して、イミオに入社しました。

こうして全国のスポーツ店にサッカーボールやウェアを売り込む毎日が始まりました。ただ、「半年で売上2倍」と約束しましたが、B to Cの接客は前職のアパレル会社で経験したものの、B to Bの営業経験はゼロでした。女性担当者に冷たい取引先もあり、当初は相手にされず、商品カタログを見ても頂けないこともしばしばだったそうです。

それでも、まずはブランドのイメージアップを図るため数多くの店に足繁く通いました。販売店の接客を手伝いつつ自社の商品の反応を確かめたり、自社ウェアをバックに満載し実際にお店で着て見せたり、それぞれのお店用の大きなパネルやウェア紹介のPOPを自分で作って配ったり、実家のある宝塚の歌劇団のお土産を配ったり。時には、飲み屋でたまたま隣だった日本サッカー協会シニアサッカー連盟の優勝チームのメンバーにその場で全メンバー分のオーダーメイドユニフォームを売り込んだり。

今振り返ると、とにかくがむしゃらに走り続けた日々だったと感じるそうです。そして、「SFIDA」という自社ブランドを心から愛する自分だからこその営業のやり方を見つけられことが幸せだったと。一人でも多くの方に愛されるブランドにしたいという想いで仕事をし、街中で「SFIDA」の服を着ている子供や人を見つけると、とても嬉しかったそうです。改めて、自分は人が好きで仕事が大好きなのだと知ったと言います。

会社を、そしてブランドを愛する気持ちは、アパレル会社で培ったもの。売る人間が、商品を愛していないのに、誰も欲しい・買おうと思わない。だから、まずは自分が全力で商品を愛し、その良さを誰よりも感じて理解しておくこと。その姿勢や考え方は、実はモデルの頃から変わらない、仕事に対するプロ意識、仕事への熱い気持ちなのかもしれません。
(つづく)

※当記事は、「NPO法人スポーツ業界おしごとラボ」理事長小村大樹氏が主宰する「すごトーク」にて、2017年4月9日に市川祥子氏をゲストに迎え座談会を行った内容をもとに再構成しました。「すごトーク」はスポーツ業界に関心のある方向けに、人の交流を図ることを目的に定期的に開催されています。「すごトーク」にご関心をお持ちの方は、以下のサイトをご参照ください。

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