川崎の”鉄道空白地帯”に「特快BRT」出発 超ラッシュ通勤救う? 「京急電車と同じ長さ」の連節バス

川崎市では初となる、連節バスを用いた大量輸送システム「BRT」が運行を開始します。2台分の車体をつないだ連節バスで、鉄道空白地帯の通勤ラッシュはさばけるのでしょうか。

6台の連節バスでラッシュ過密ダイヤを乗り切る

 川崎市では初となる、連節バスを用いた大量輸送システム「BRT」が、いよいよ3月1日から臨港バス(川崎鶴見臨港バス)の運行でスタートします。それに先立つ2月14日、川崎区の塩浜営業所で出発式が行われました。

 BRTが運行されるのは、川崎駅の東側の臨港地帯、水江町方面です。一帯の工場などへの通勤需要が高く、一般バスはラッシュ時に1時間あたり20本近い高頻度運転が行われ、他の臨港エリア行き路線とも合わせて、駅前バスロータリーはパンク状態となっていました。 その解決策として、車体を前後につないだ連節バスを導入し、1台あたりの容量を多くすることで台数の集約を図ります。ピーク時に大量に必要となる運転士の確保も、負担が小さくなります。 さらに川崎BRTでは、バスの接近にあわせて信号を青にする「PTPS(公共車両優先システム)」や交通規制によるバス専用レーン(一部区間)を導入。さらにピーク輸送時は川崎駅から臨港地帯まで「特快」としてノンストップ運転を行います。これらにより、鉄道に近い定時性を確保。先行のバスばかりが混雑し、後続の車両が連なる「団子運転」も解消が期待されます。 今回導入された連節バスは6両。臨港バスの担当者は「現在のダイヤでは最低これだけ入れないと賄えません。水江町ルートには支線がありますが、こちらもBRT化する必要があり、そのためにはあと4両、計10両が必要かと考えています」と、増備の可能性も示唆しています。

連節バスの運行は“選ばれし運転手”?

 川崎市では初、もちろん臨港バスでも初となる連節バス。普通のバス車両とは運転の感覚が異なるため、2か月半の習熟運転を経て乗務につくといいます。現在は41名が連節バスを運転可能といいますが、「特別な運転免許が必要なわけではなく、大型二種免許さえあれば、運転スキルを身に着けるだけで運転できます。そのため『選抜部隊』ではなく、より多くの運転士が連節バスに乗務できるのが理想です」(同)とのこと。 とはいえ、長い長い車体を切りまわすのは大変です。今回導入された水江町ルートは、川崎駅から4車線道路がひたすらまっすぐ続き、右左折が必要最小限となっています。浮島方面の路線も輸送密度が高いですが、4車線道路ではないことや「(首都高下の幹線道路である)産業道路へ出入りするということが、運転技術的にもPTPSの面でも特に課題となってくる」(同)ようでした。 臨港バスの平位 武代表取締役社長はあいさつで「連節バスの全長18mというのは、京急の電車と同じ長さ。それを安全に運行するためにクリアしなければならない課題が多く、関係各所のご協力でこの日を迎えられてホッとしています」と話しました。それから続けて、今後の取組として「AIを用いた運転や無人運転にも、近いうちに実証運行として進めていきたいです」と抱負を語りました。

externallink関連リンク

【デビュー間近「川崎BRT」の外観と内装を見る】 「路線バス本数かなり多い区間」東日本3選 多すぎて時刻表に書けない? 続々連節バス 「廃線→バス専用道」から10年 鉄道よりよくなった? 茨城空港へ通じるBRT
externallinkコメント一覧

コメントを残す

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)