え!空母サンパウロ、返品されてきたの?! どうすんだよこの船… ブラジルで大問題に

2022年下半期からブラジルではとある漂流船が問題になっています。それは元空母の「サンパウロ」です。解体が決まったにも関わらず、諸問題から近海を漂うことに。同空母はブラジル海軍に購入されてからトラブル続きでした。

原因はアスベスト! トルコ政府が引き取りを拒否

 2022年下半期からブラジルでは、とある漂流船が問題になっています。それは元空母の「サンパウロ」です。同艦は廃棄することになり、2019年9月に解体業務を請け負うトルコの会社が買い取ったはずですが、なぜか今、ブラジルのペルナンブコ州沖をさまよっているとのこと。一体なぜこんなことになったのでしょうか。

 権利が移った後、確かに同艦は、トルコのイズミルへ向かっていました。しかし途中で、トルコの野党や環境団体が、同艦の受け入れ拒否運動を展開します。理由は、サンパウロの断熱材に健康被害をもたらすとされているアスベストが数トン使われていたためです。「サンパウロ」に使用されているアスベストの正確な量をめぐっては今も論争が続いているそうですが、この抗議運動を受け、2022年8月、トルコのムラト・クルム環境・都市計画・気候変動相は、同艦が2回目の含有物検査を受けなかったことを理由に、「トルコ領海への進入は認められない」と受け入れを拒否。ブラジルに帰ることになりましたが、ブラジル側も同艦の寄港を拒否し、2022年10月以来、同艦はペルナンブコ州の沖にあるとのことです。

ブラジルにとっては呪われた船かもしれない?

 空母サンパウロはもともと、 1960年にフランスで進水したクレマンソー級の2番艦「フォッシュ」でした。それをブラジル海軍は老朽化した空母「ミナス・ジェライス」に代わる海軍の旗艦として、2000年11月に購入しました。 しかし、既に就役からだいぶ年月が経っていたということで、トラブルが頻発します。そのため2005年から2010年にかけて同艦は近代化が行われますが、エンジン、推進シャフト、カタパルトなどで不具合が頻発し、2012年以降は、ほとんど任務にも出なくなってしまいました。結果、膨大なコストがかかることを理由に海軍は近代化計画を打ち切り、空母としての役目を満足に果たせないまま、2017年2月に運用終了を発表しました。 ブラジルメディアの報道によると、2023年1月現在、同艦はブラジルの北東海岸に沿って円を描くようにタグボートに引かれながら、沖合をさまよっているそうです。まだ解体を請け負った会社は船を放棄してはいませんが、ブラジル当局と調整は難航しているようで、放棄する可能性も捨てきってはいません。国際法上的にはブラジル海軍、ブラジル政府に法的責任があるとされていますが、このまま事態がまとまらないと、ブラジルの沖合をさまよう幽霊船になってしまう可能性もあります。

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