夏の琵琶湖は水草との戦い

日本最大の湖にして近畿の水瓶と称される琵琶湖は、釣りやマリンスポーツ、湖水浴のお客さんで賑わっています。しかしこの時期になると琵琶湖大橋以南の南湖では大量の水草が発生し問題となっています。船舶の航行と岸に打ち上げられた流れ藻などです。

船舶の航行はスクリューに絡み付くことで特に小型船の航行を妨害します。琵琶湖ではエリや沖引きなど様々な漁法で漁業が行われているため深刻な問題になります。また、この時期は台風シーズンであることや水草自体が切れ藻で増殖するという性質があることから、大量の水草が漂流しています。水草が岸に漂着すると、多くの水分を含んでいることから腐敗し、凄まじい悪臭を放ちます。湖岸周辺には住宅地や商業施設もあり、風向きによっては悪臭が届いてしまうことがあります。

滋賀県では水草対策に力を入れています。 滋賀県琵琶湖政策課及び水産課によると、平成28年度に県は南湖で117回の水草刈取りを実施しました。その結果、2383トンの水草を除去しました。除去回数が多いのが大津市の沖合です。大津市側は草津市や守山市の湖岸とは異なり、住宅地などが湖岸のすぐ側に迫っています。最も多く除去されたのは、におの浜沖で34回にわたる刈り取り作業で696.3トンが除去されました。2番目が草津市矢橋の帰帆島沖(312.5トン)、3番目が雄琴沖(182.3トン)、4番目が草津市の山田沖(131.3トン)でした。これらの除去した水草は、陸揚後に堆肥化されて、希望者に無償提供されています。

かつて、琵琶湖沿岸部では田畑の肥料の代わりに琵琶湖の水草を利用していました。この手法は化学肥料の登場やゴミの問題もあり、近年では廃れてしまいました。しかし、県は再び堆肥化をすることで利用を促しています。今はまだ試験的な利用に留まっていますが、いずれは水草堆肥の大々的な利用も期待できるのではないでしょうか。

[写:aki.kajitani@fliker]

externallinkコメント一覧

コメントを残す

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)