
レモンや梅干しなど、いかにもすっぱい食べ物を食べるのはもちろんのこと、ただ見たり想像したりするだけで、わたしたちの口からはじわじわ唾液があふれてきますよね。すっぱいものを見たから当然、食べたから当然と誰も気にしないものですが、すっぱいものを見る、食べることで唾液が出る理由についてご存知でしょうか?意外と知られていないすっぱいもので唾液が出る理由について紹介したいと思います。
すっぱいものを食べると唾液が出るメカニズム
まずはすっぱいものを食べることで唾液が出るメカニズムをご説明しましょう。自然科学研究機構・生理学研究所というところが解明しています。その研究成果によれば、まずわたしたちの舌には、「PKDチャネル」と呼ばれる酸味を感知するセンサーが存在しているそう。この酸味センサーは舌の奥や脇に存在していて、口にすっぱいものを入れるとこのセンサーが反応を示し、この反応で唾液の分泌が活発になるというのです。つまり舌が酸っぱさを感じ取って唾液を出しているわけですね。でも何故酸っぱいと唾液が分泌される結果となるのでしょうか。
すっぱいものを感知するとどうして唾液が分泌されるの?
では、なぜすっぱいものを感知すると唾液が分泌されるようになるのか。これは毒性の強い危険な食べ物の多くには強い酸味が含まれていることが多く、こういった危険な食べ物を口にいれたとき、含まれる毒を唾液で洗い流すために人間に備わった機能だというのです。毒のある危険な食べ物から自らを守るための防衛策の表れというわけ。ちなみにすっぱいものを飲み込んだ、口から出した後も一定時間酸っぱさが口に残るのは、口に残った危険と思われる物質を唾液で積極的に洗い流すためのものであるとされます。
すっぱいものを見ただけでどうして唾液が分泌されるの?
では、想像するだけでも唾液が出るのはどうしてでしょう? それについてはこんなエピソードをご紹介しましょう。20世紀の初頭に行われた唾液にまつわる実験です。旧ソ連の生理学者が犬の唾液腺について研究していたところ、飼育係が接近するたび、犬がエサをもらえることを察知して唾液を分泌していることがわかりました。ためしに毎度同じ音を聞かせた後犬にエサを与えるようにしたところ同様に犬が唾液を分泌していることが判明。つまりエサの予見によって唾液を分泌するという反射行動を犬が身に付けたわけです。これがわたしたち人間にも同じことがいえるのです。
一度レモンや梅干しなどを酸っぱいと理解したことから、すっぱいものを見たり想像するだけで酸っぱさを予見して唾液が分泌されるというわけです。ちなみに体調変化に伴い味覚が酸っぱく感じるようになることもあります
writer:サプリ編集部