気になる無痛分娩、リスクを避けるには病院選びから

女性にとって人生最大の出来事ともいえる出産は、時には想像を絶するほどの痛みを伴います。痛みがあるほど体への負担も大きく、最近では無痛分娩への関心が高まっています。しかし無痛分娩にはリスクがあるといわれ、麻酔の処置を誤ると、赤ちゃんや母体に事故が起こることもあります。メリットが多い無痛分娩ですが、その注意点などについてご紹介しましょう。

フランスでは約8割が無痛分娩
アメリカでは全出産のうち60%、フランスでは80%が無痛分娩といわれ、日本は2,6%と少ないものの、無痛分娩に関心をもつ女性は少なくありません。実際に日本でも無痛分娩を選び出産する女性が増えています。しかしたびたび、無痛分娩の際に母子に起こる事故をニュース等で耳にすることがあり、不安が拭えない部分もあります。なぜ日本では無痛分娩から事故が起こってしまうのでしょうか。

無痛分娩を選ぶメリットとは
無痛分娩とは、麻酔薬を投与することにより、出産のときの痛みを和らげるものです。現在、主流で行われているのは硬膜外(こうまくがい)鎮痛法です。出産時の子宮や膣などの痛みは神経を通って、背骨の中の脊髄に集まってきます。硬膜外鎮痛法とは、背骨にある硬膜外といわれる場所に麻酔薬を投与することで、痛みを伝える神経をブロックしてしまうことです。硬膜外鎮痛法を行うメリットは、出産時の母親の痛みが軽減されるため身体の消耗が少なく、産後の回復が早いこと。それから通常出産の際は、痛みにより呼吸を止めてしまいがちで、赤ちゃんに十分な酸素が供給できなくなることがあります。しかし無痛分娩では痛みが少なく安定した呼吸により、赤ちゃんへの酸素不足を防ぐことができ、母子ともに安定したお産ができるのです。

無痛分娩のリスクを避けるには病院選びが肝心
硬膜外鎮痛法で麻酔薬をうっても、通常母親は、出産を終えるまで意識を失うことがなく、また赤ちゃんが麻酔薬の影響を受けることはほとんどないとされています。しかし硬膜外鎮痛法は、医師にとって技術が必要な方法です。無痛分娩は麻酔の影響で事故が起こることも考えられ、その時に十分な対応ができないと母子に障害が残ったり、死亡するケースもあります。そのため日本産婦人科医会では、無痛分娩の麻酔は産科麻酔の十分な研修を受けた医師が担当するように、提言しています。しかし実際には病院では人手が足りず、出産時に麻酔科医がいなかったり、また出産に立ち会える医師が一人だけしかいないなど、何かあった時にすぐに対応できず、緊急処置できる体制が整っていないところもあるようです。

このことが無痛分娩の事故につながる大きな原因とされています。日本ではまだ無痛分娩を専門的にできる医師が少なく、大都市以外では無痛分娩ができる病院は少ないといいます。しかし無痛分娩を望む女性は多く、これからますます増えていくでしょう。無痛分娩のために病院を選ぶ際は、部屋や食事の良さなどだけで選ぶのではなく、必ず信頼できる医師がおり、安全で設備・体制が整っている病院を選ぶようにすることをおすすめします。

writer:Akina

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