
晩秋の長崎本線・883系特急かもめと、竹崎カニ&カキ編/2017年撮影 11月中旬、晩秋の長崎本線を訪ねました。今回の撮影目的は2つ。
ひとつは、有明海沿岸の丘陵に広がるミカン畑と列車の撮影です。
年末を前にして色づいたミカンもここ長崎本線の風物詩です。
もうひとつは、青い有明海と列車の撮影。
春から夏にかけての風景も美しいのですが、ここ数年、中国からのPM2.5がらみもあるのか、天気が良くても風景が霞み、なかなか青い海を見ることができなくなりました。
空気の澄んだ秋に、久々に美しい有明海を撮影したくてやってきました。
[色づいたミカンと青い有明海をながめて走る特急かもめ、目的の撮影ができて満足!]
長崎本線を走る特急列車は「かもめ」、やはり海をイメージした愛称です。
主に博多駅と長崎駅を結びます。
車両は現在2種類走っていて、白いボディーの885系で時刻表にも「白いかもめで運転」と記載されています。
黒い車両は787系、元々鹿児島本線で特急つばめ用に作られた車両です。
どちらもヨーロピアンな雰囲気を漂わせる魅力の列車です。
[長崎本線を走る883系、通称「白いかもめ」]
[787系車両も運転、元々は特急つばめ用に作られた車両]
今回の撮影は天気が良くて、海も青く、思い通りの撮影が続きました。
実は長崎本線には、ちょっと楽しみがあってやってきました。
10月~4月にかけて長崎本線沿線には「カキ焼き小屋」がたくさん並びます。
入り口でバケツに入ったカキ(けっこうな量で、だいたい1000円くらいと安い!)を買って、炭火で焼いてがんがん食べます。
もう無条件でおいしいのです……。
が、今回は天気が良くて撮影にかかりっきり。
日中カキ焼き小屋に行く時間がありません。
そこで、道の駅「多良」に寄ってみました。
夕方の道の駅「多良」。
ここで数々の出会いが……!
まず目に付くのはミカン。
たくさんの農家さんが作ったミカンを試食して選べます。
いろいろな種類、
サイズのみかんがいっぱい並ぶ。
活き竹崎カニ。
生きた竹崎カニやカキも並んでいます。
カニは味噌汁にうまい、小さいサイズで500円から。
大型で3000円くらい。
カキは1パック1000円前後と超お買い得価格です。
カキも、たくさん置いてあります。
カキ小屋は、列車の撮影が終わったころには開いていないので、ここで海産物を購入して“車内食”です。
とはいえ、生のカニをゆでたり、カキを開けたりはちょっと大変なので、ゆでカニとむき身のカキを選びました。
塩としょうゆで味付けしてある
カニも販売。
ちょっと贅沢にも、
いろいろと買い込んでしまいました。
(カニとカキ以外は次回……)
現地で調達した贅沢なカニとカキを使っての、車内料理教室開幕です! まずはカキです。
一品目はアヒージョ、カキとマッシュルーム、にんにく、鷹のつめをオリーブオイルで煮ます。
軽く塩をすればできあがり。
有明海のカキは煮ても縮みにくく、味も濃く、ぷりっとしていて感触がたまりません。
車内での油料理のコツですが、アルミホイルにつつんで煮ること。
これでフライパンの汚れが簡単に落とせます。
(自宅でもいいですよ!)
まずはカキのアヒージョ、
簡単料理です。
ぷりっとしたカキを
焼いたバゲットにつけて。
あまった分は、
バゲットを小さく刻んでまぜ、
溶けるチーズを乗せて暖め、
更に粉チーズをかけて
「カキのパングラタン」の
できあがり。
あまりにカキがたくさんあるので、もう一品。
塩コショウして小麦粉でまぶして、バター焼です。風味が増して最高です。
ブランドガニの「竹崎カニ」をまるごと贅沢にいただく!
次は竹崎カニです。
全国的には「ワタリガニ」と呼ばれていますが、多良の竹崎地区でとれたものは「竹崎カニ」と呼ばれるブランドカニです。
買ったのは塩としょうゆで味付けた煮たカニで、けっこう大きなサイズのメスが2500円でした。
車中泊用としてはけっこう贅沢な食材です。
[2500円の茹で竹崎カニ、かなり立派です]
身がかたくならないように、
フライパンで蒸して暖めます。
(アルミホイルの下に
水を少量入れて蒸しています)
身もびっしり。
スープもあふれてきます。
甲羅にほぐし身をもって完成。
味が濃くて
むちゃくちゃ美味しいカニです。
甲羅からあふれた汁が
もったいないので、
ガラとともに
濃い目のスープをとります。
[贅沢かに玉スープ 長崎ver.]
最後は、カニ出汁を使って、道の駅で買った地元エリンギとインゲンを入れ、贅沢かに玉スープ 長崎バージョンの完成です!
いやもう、おいしかった。
車の中で満足の夜です。
デザートはもちろん多良のミカンでした。
次回は有明海の干潟の味を堪能です。
佐々倉実(ささくら みのる)
鉄道をメインにスチール、ムービーを撮影する“鉄道カメラマン”。初めて鉄道写真を撮った小学生のころから約50年。鉄道カメラマンなのに、列車に乗ると走るシーンを撮影しにくいので、撮影の8割はクルマで移動。そんなワケで1年のかなりの期間をクルマで生活しています。ちなみに、鉄道の他に“ひつじ”の写真もライフワークで撮影中、ときどきおいしいひつじの話も出てきます。
主な著作に「富士鉄」(講談社)「新幹線ぴあ」(ぴあMOOK)「鉄道ムービー入門」(玄光社)「ひつじがすき」(山と溪谷社)など多数、映像集に「感動の美景鉄道」(MAXAM)「日本の新幹線・特急」(シンフォレスト)など、担当番組に「素晴らしき日本・鉄道の旅」(BS-TBS)など