「自分は生きているべきと思わず」=山上被告、初の本人質問―安倍氏銃撃公判・奈良地裁

 奈良市で2022年、安倍晋三元首相を手製銃で殺害したとして、殺人などの罪に問われた山上徹也被告(45)の裁判員裁判の第10回公判が20日、奈良地裁(田中伸一裁判長)であり、初の被告人質問が行われた。同被告は冒頭、「(45歳まで自分が)生きているべきだとは思わなかった。このような結果になってしまい、大変ご迷惑をおかけしているので」と語った。
 山上被告が発言するのは、10月28日に開かれた初公判以来。罪状認否で同被告は「全て事実です。間違いありません」と述べ、殺人罪を認めていた。
 質問は弁護人が行い、被告の幼少期から尋ねた。山上被告は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を信仰する母親について問われると「基本的に悪い人間ではないが、統一教会に関わることは理解し難いことが多々あった」とし、「あれほど多額の献金がなければよかった」と述べた。
 計1億円を献金した母親が02年に自己破産したことを知ったのは約2年後で、教団に献金をすれば救われると信じていた母親はショックを受けていた様子だったと話した。海上自衛隊に入隊していたころ、援助を求める母親からの電話を無視したといい、「自分が期待に応えなかったことで、母親が宗教的、経済的にも挫折した」と指摘した。
 自身の自殺未遂の理由を「父親としての役割を押し付けられることに嫌気が差した」と説明。自殺未遂を受け、教団から一部返金が始まったことには「全額返金を求められるよりは、困らない程度に出し、請求されないようにするのが統一(教会)だ」と批判した。
 公判の最大の争点は刑の重さで、教団が同被告に与えた影響をどう判断するかが焦点となっている。これまでの公判には同被告の母親と妹が出廷し、幼少期の家庭環境を証言した。被告人質問は12月4日まで計5回行われる予定。 
〔写真説明〕被告人質問に臨む山上徹也被告=20日、奈良市(イラスト・松元悠氏)

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