19日は国際男性デー。ネイルサロンと聞くと女性の利用が考えられがちだが、近年は男性の利用も広がる。背景には男性の美容意識の高まりがあるとされ、男性専用サロンの代表は「身だしなみの一つとしての認識を広めたい」と意気込む。
美容事業を展開するメンズケアジャパン(東京)は2012年9月、千代田区に男性ネイル専門店「オトコネイル市ケ谷店」を開いた。代表取締役の坂下隆子さんは、現役で働く70代の知人男性が爪やすりで指先を整えるのを見て事業を思い付いた。男性専用のネイルサロンは当時日本初だったという。
「オトコネイル」は現在、東京と大阪に計6店を構える。今年1月~11月中旬の利用者を年代別に見ると30代~60代で8割を超える。
坂下さんは「顧客の多くは、ボロボロの手元を見せるのは相手に失礼だと考えてサロンを利用している。男性にとって、美容とは相手を気遣うことで、爪先を整えることは身だしなみの一つだという認識を広めたい」と強調する。
サロンでは、手の余分な角質を除去して爪の形を整え、マッサージや爪のつや出しなどを約1時間かけて行う。新宿西口店を利用した千葉県成田市の歯科医師青柳和孝さん(63)は「レントゲンを示しながら患者に説明する際、手袋を外す必要がある。乾燥による爪の割れや縦じわが長年コンプレックスだった」と打ち明ける。
約10年前からサロンに通うが、「最初はこんなサービスがあるのかと驚いた」と話す青柳さん。通い続けるうちに爪の形も良くなったといい、「爪先が整っていると気持ちが良いし自信にもなる」とリラックスした表情で話した。
美容業界を研究するホットペッパービューティーアカデミー(千代田区)が男性に行った調査によると、過去1年間にネイルサロンを使った割合は21年は2.8%だったが、25年には4.5%に増えた。担当者は「男性の美容意識や身だしなみへの関心の高まりがある。一人ひとりの爪の悩みに応じたケアを提供するサロンの役割は今後も広がるのではないか」と分析している。
〔写真説明〕ネイルケアを受ける男性=10月30日、東京都新宿区

