【北京時事】高市早苗首相の台湾有事発言を巡る摩擦で、中国側から日本との人的往来を中止させる行動が相次いでいる。訪日旅行や自治体交流を控える動きが目立ち始めたほか、一般市民の対日感情も急速に悪化しているもようだ。
「日本との関係が緊張しており、今は団体ツアーは組めない。国に協力する必要がある」。日本企業が多く進出し、親日的な都市として知られる中国東北部・遼寧省大連の旅行会社の従業員は、こう説明した。同省瀋陽の別の旅行代理店は、12月のツアーを全て中止すると明らかにした。
中国外務省などは14日以降、日本への渡航自粛を一斉に呼び掛けた。中国ではこうした当局の号令は、単なる注意喚起にとどまらない強制力を持つ。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは18日、過去数日間で50万件近い日本行き航空券がキャンセルされたとの専門家の分析を報じた。総予約数の約3割に当たるという。
17日、北京の国際空港では出発便を待つ訪日客の姿がまだ見られたが、日本行きについて尋ねると、ほとんどが「聞かないでくれ」とコメントを避けた。その他の旅客の中には「私は日本になんて行かない」と訪日自体に拒否感を示す人もいた。
中国の航空各社もまた、政府方針に応じる形で、日本発着便の航空券のキャンセル料を無料としている。報道によると、四川航空は来年1~3月の四川省成都と札幌を結ぶ路線の運航を取りやめると発表した。
自治体間の交流にも支障が出始めている。愛知県半田市では、18日に予定していた中国江蘇省徐州からの代表団来日が急きょ中止された。山口県下関市では、前田晋太郎市長による18日からの中国出張が取りやめになった。いずれも中国側が直前に延期を求めてきたという。
〔写真説明〕日中両国の国旗

