「春節に影響は…」、観光に影=中国の訪日自粛要請受け―京都など

 台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁は、観光に暗い影を落としつつある。中国政府が国民に日本への渡航自粛を呼び掛けたためで、京都などの観光地では来年2月中旬に始まる春節(旧正月)への不安も広がる。
 京都・嵐山は18日、紅葉の季節を迎え、多くの訪日客らが訪れていた。土産物店の50代女性店長は「今は影響がないが、春節に訪れる中国人は多い。自粛の影響が長引いたら…」と心配する。別の土産物店を営む50代女性は「中国以外から来る人も多く、そこまで気にしていない」とした上で「訪日が禁止されたわけでもない。気にせずに来る人もいる」と冷静に語った。
 東京・浅草を歩く20代の中国人カップルは、自粛要請を知りながらも17日に来日した。男性は「日本は治安が良いので特に気にしなかった。今後の情勢は注視したいが、まずは旅行を楽しみたい」と笑顔で話した。
 観光客に人気がある人力車の利用を呼び掛けていた30代男性は「特に影響はない。政治と観光を分けて考える人が多いのでは」と推測する。観光客が長い列をつくっていた老舗和菓子店の店員も「今は全く影響を感じない。今後関係が悪化すれば影響が出るかも」と話した。
 築地場外市場(中央区)で飲食店を経営する40代男性は「中国人が減ったという感じはなく、営業への影響もほとんどないが、春節に変化があるのではないか」と不安そうな表情を浮かべた。奈良県大和高田市から観光に来た大学生の男性(26)は「中国人観光客が減ると、経済へのダメージも大きいのでは」と懸念した。
 日中関係の悪化後、影響が出たイベントもある。22日に開催される相模原市と江蘇省無錫市の友好都市締結40周年行事では、無錫市の学校の生徒がダンスを披露するはずだったが訪日が見送られた。理由の説明はなかったが、相模原市国際課の担当者は「事情は何であっても、交流は今後も続けていきたい」と力を込めた。 
〔写真説明〕京都・嵐山の渡月橋=京都市右京区

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