新法も見えぬ効果=「行政の積極介入を」―旧統一教会などの高額献金規制

 安倍晋三元首相銃撃事件で注目を浴びた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の高額献金問題。事件後、罰則付きの不当寄付勧誘防止法(被害者救済法)が成立したが、違法行為が認定されたケースはない。情報が寄せられたのに調査できていない事案も多く、被害者支援弁護士は「実効性は不十分。行政の積極的な介入が必要だ」と訴える。
 消費者庁は事件発生翌月の2022年8月に有識者検討会の初会合を開催。同10月に報告書がまとまり、被害者救済法は同12月に成立、23年6月に全面施行された。
 同法は、法人や財団などの団体を対象に、霊感で不安をあおって寄付が必要不可欠だと告げたり、退去困難な場所へ同行して寄付を要求したりし、困惑させることを禁止。寄付者やその家族の生活の維持を困難にしないことや、寄付金の使途を誤認させないことなども求める。
 同庁によると、23~24年度に同庁の相談窓口などに寄せられた情報のうち、不当な寄付勧誘の疑いで調査対象となったのは141件に上る。ただ、対象情報の半分以上は匿名での相談だったり、情報提供者と連絡が付かなくなったりで、そもそも具体的な調査ができなかったという。
 同庁の担当者は「通報したと知られると、報復を受けるのではないかという恐怖心があるのではないか」と分析する。
 全国霊感商法対策弁護士連絡会の木村壮弁護士は「行政が積極的に不法行為に介入できなければ、十分に消費者被害を防ぐことは難しい」と指摘。違法行為を明確にすることも重要とし、「問題事例を積極的に公表する必要がある」と話す。
 旧統一教会については「信者がどんどんお金を出していってしまう状況は、水面下で今もあるはず」と危惧。文部科学省が求めた解散命令が確定した場合も献金活動を続ける可能性があるとして、「もっと行政が介入しやすくし、規制対象を法人や財団などに限らず、個人などにも拡大する法改正が必要だ」と訴えている。 

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