
ノーベル化学賞受賞が決まった北川進さん(74)に1999年度から5年間、京都大大学院で指導を受けた大阪大大学院工学研究科の正岡重行教授(48)は「注目度はもともとは高くない分野だったが、北川先生らの功績がこの分野を大きくした。ノーベル賞という形で評価されて大変うれしい」とたたえた。
北川さんの指導について「研究がうまくいかず悩んでいる学生を激励するのが上手だった」と振り返る。普段から「研究はエンジョイするんだ」と話しており、「その通りの姿を学生に見せてくれた。『こうなりたい』と思わせてくれる先生だった」と語った。
2000年度から5年間指導を受けた名古屋大大学院工学研究科の松田亮太郎教授(48)も「北川先生は気さくに話せる人柄で、日常的に相談に乗ってもらった」と語る。学生の主体性も重視しており、「自由に考える機会をくれた」と感謝を口にした。
北川さんは07~14年、理化学研究所のチームリーダーとして、大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県)で金属有機構造体(MOF)に関する研究を進めた。当時を知る石川哲也・理研放射光科学研究センター長によると「弟子の研究者にもフランクで、和やかに接していた」といい、「受賞決定はめでたい。思わぬところで社会実装の可能性がある」と期待を込めた。
北川さんと約6年半、京大で一緒に研究した九州大大学院理学研究院の大場正昭教授(56)は「心待ちにしていた。感無量です」と祝福。20年以上にわたり共同研究を行っている大阪公立大の久保田佳基教授(58)は「先生は研究に対してすごく厳しい方。まだまだ活躍されると思うので、私も協力したい」と話していた。
〔写真説明〕ノーベル化学賞の受賞が決まり、記者会見の会場に入る京都大の北川進特別教授=8日午後、京都市左京区