
静岡県伊東市の田久保真紀市長は10日、自身の学歴詐称疑惑に絡む市議会の不信任決議に対抗するため、議会を解散した。地方自治法によると、不信任決議から10日以内に議会を解散しなければ失職する決まりで、11日が判断の期限となっていた。40日以内に行われる市議選後に不信任決議が再び可決されれば、田久保氏は失職する。市議選の投開票日は10月19日が有力視されている。
田久保氏は議会に解散を通知した後、記者団の取材に応じ「(不信任決議で)市民生活に重要な議会での審議が放棄された事実を受け止め、広く市民に信を問うべきだと考えた」と述べた。市議選への対応については「私が関わるというよりも、これからの伊東の未来をつくっていく新しい風の出現に期待したい」と語った。
田久保氏は最終学歴を東洋大卒業としていたが、実際は除籍されていたと7月に発表した。疑惑を調べてきた市議会調査特別委員会(百条委員会)に出頭した際は「6月28日に初めて除籍と知った」と証言したが、市議会はこれを偽証と判断。今月1日、不信任決議を全会一致で可決した。
地方自治法によると、不信任決議は出席議員の4分の3以上の賛成が必要。ただ、解散に伴う市議選後に初めて開かれた議会で不信任を再び議決する場合は、過半数の賛成が要件となり、ハードルが下がる。
田久保氏は市議を経て、5月の市長選で初当選。疑惑発覚後の7月には、市長を辞職して出直し選挙に立候補する意向を表明した。しかし、その後に一転して辞意を撤回した。
〔写真説明〕静岡県伊東市議会の中島弘道議長(左奥)に議会解散を通知する田久保真紀市長(右)=10日午前、同市
〔写真説明〕報道陣の取材に応じる静岡県伊東市の田久保真紀市長=10日午前、同市