
国土交通省 八代河川国道事務所と熊本県、八代市、上天草市は2025年8月7日、第3回となる「八代・天草シーラインに関する勉強会」を開催しました。
超長い「海上橋」が熊本に?
国土交通省 八代河川国道事務所と熊本県、八代市、上天草市は2025年8月7日、第3回となる「八代・天草シーラインに関する勉強会」を開催しました。
八代・天草シーラインは、熊本県八代市と離島である天草上島(上天草市)との間を約9kmの海上橋で結ぶ構想です。平成の時代から建設促進期成会が立ち上がり、2021年に県と国がそれぞれ「新広域道路交通計画」に構想路線として位置付けて以降、動きが活発化しています。
天草地域はすでに、上島から島々をつなぐ「天草五橋」などを経由する「天草パールライン」によって、本土と橋づたいで結ばれています。三角、宇土、熊本といった“北向き”のルートに対し、八代・天草シーラインは八代との間を一気に橋で結び、県南部に向いたルートをつくる構想です。この役割はもともと航路が果していたものの、2014年に廃止されています。
このルートにより、現状の天草(本渡)-八代(九州道八代IC)の所要時間は、120分が60分に短縮されるそう。災害時の代替ルート確保や、県南の人吉・球磨地域、水俣・芦北地域を巻き込んだ観光の活性化などが期待されています。
勉強会では、これら地域のやポテンシャルの確認が行われました。八代港にはクルーズ船が寄港するものの、そこからのバスツアーの訪問先として、天草地域が時間的な制約から選ばれていない現状もあるそうです。今後は、各市の観光計画や関係団体へのヒアリングを踏まえ、観光分野における実現したい姿の取りまとめを行うことを確認しました。
建設促進期成会のパンフレットでは、約8.8kmと想定される橋梁の設計なども紹介しています。天草と八代のあいだは水深も10m前後と浅く、プレキャスト部材の多様で全体工程も短くできるとされますが、それでも概算コストは801億円と見込まれています。
ちなみに、日本一長い橋は東京湾アクアライン「アクアブリッジ」の4384mですが、八代・天草シーラインはその倍以上の長さとなります。