維新、東西温度差が課題=旧執行部復権、「副首都」火種も

 日本維新の会は、共同代表に藤田文武前幹事長の就任を決めた。維新内では「副首都」構想を巡り、国会議員団と吉村洋文代表(大阪府知事)を支える府議団との間に温度差がある。前原誠司共同代表ら前執行部下では党内の確執が目立ち、国会議員団トップの藤田氏は党内融和を図れるかが問われる。
 「全国政党として役割を果たしていく」。共同代表を選ぶ8日の両院議員総会後、藤田氏は記者会見でこう強調した。
 維新が低迷した7月の参院選後、吉村氏は副首都制度を導入する法案の国会提出を目指す考えを表明した。ただ、国会議員団側には困惑が広がる。ベテランの一人は「大阪都」構想が住民投票で2度否決されたことに触れ、「いまさらかという感じだ」と冷ややかに語る。
 参院選で維新は関西以外の選挙区を全て落とし、比例代表の得票も大幅に減らした。副首都を前面に掲げることに、中堅は「大阪の政党だと見られてしまう」と指摘し、全国での支持回復の足かせになりかねないと懸念する。
 府議団からは、副首都実現のため自公連立政権入りを求める声も出ている。藤田氏は「副首都だけで連立することはない。安易な連立で身売りすると維新はなくなる」と断言したが、立場の隔たりには苦慮しそうだ。
 党内の対立解消も課題だ。前原体制では、馬場伸幸前代表に近い議員がしばしば執行部批判を展開した。前原氏は5日に辞任を表明した際、「フォロワーシップ(支援する姿勢)が足りない」と苦言を呈した。
 藤田氏は馬場前代表の下で幹事長を務め、昨年の衆院選敗北後にともに交代した。藤田氏と距離を置く一人は「旧執行部が復権し牛耳るのだろう」と警戒感を隠さない。吉村、藤田両氏は新執行部人事を通じて党内の溝を修復できるかが試金石となりそうだ。 
〔写真説明〕日本維新の会の新共同代表に決まり、前原誠司共同代表(右)と握手する藤田文武氏=8日午後、国会内

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