最後のH2A、打ち上げ成功=衛星「いぶきGW」搭載―50号機、有終の美

 三菱重工業は29日午前1時33分、温室効果ガス・水循環観測技術衛星「いぶきGW」を搭載したH2Aロケット50号機を、鹿児島県・種子島宇宙センターから打ち上げた。衛星は約16分後に予定の軌道に投入され、打ち上げは成功した。2001年の初打ち上げ以来、24年にわたって日本の宇宙開発を支えたH2Aは、50機中49機という高い成功率を残して退役し、後継のH3に完全移行する。
 記者会見した三菱重工の五十嵐巌・宇宙事業部長は「今までの信頼をH3に引き継いで打ち上げを進めていきたい」と述べた。
 旧宇宙開発事業団(現宇宙航空研究開発機構=JAXA)が開発したH2Aは、基幹ロケットとして政府などの衛星打ち上げを担った。07年からは三菱重工に製造と打ち上げが移管され、衛星打ち上げ市場への参入も果たした。失敗は03年の6号機のみと高い信頼性を実現したが、米スペースX社などの登場により衛星打ち上げ市場の価格競争が激化する中、1機100億円とも言われる費用が課題に。民生部品の大幅な活用などで低コスト化を実現するH3への移行が決まった。
 「いぶきGW」はJAXAと環境省などが開発した衛星で、これまで2種の衛星に搭載されてきた二酸化炭素などの温室効果ガスを観測するセンサーと、降水量や海面水温など地球上の水循環を観測するセンサーの両方を搭載。温室効果ガスの削減に向けた取り組みや、気候変動予測などの基礎となるデータを収集する。 
〔写真説明〕温室効果ガス・水循環観測技術衛星「いぶきGW」を搭載し、打ち上げられるH2Aロケット50号機=29日未明、鹿児島県・種子島宇宙センター
〔写真説明〕打ち上げ後の記者会見を終え、笑顔で記念撮影に応じる三菱重工業の五十嵐巌宇宙事業部長(左端)とJAXAの山川宏理事長(右端)ら=29日未明、鹿児島県・種子島宇宙センター

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