中国、貿易戦争に高まる不安=輸出業者、米顧客の「注文ゼロ」―トランプ政権100日

 中国の輸出業者が、米国との貿易戦争の長期化に不安を募らせている。4月にトランプ米政権が中国からの輸入品に145%の追加関税を発動して以降、対米輸出は大幅に減ったとみられ、「事業者の倒産が相次ぐ」(雑貨メーカー)との懸念が広がる。
 「注文がゼロになった」。浙江省義烏にある世界最大級の卸売市場「義烏国際商貿城」で、玩具店を営む女性は嘆いた。欧州や中南米の顧客も抱えてはいるが、米国は売上高で3割、利益で4割を占める最大の得意先だ。トランプ大統領が高関税を見直す可能性に望みをつなぐほかなく、「今は様子見だ」という。
 中国国営新華社通信は4月下旬の記事で、義烏の対米輸出は全体の約10%を占めるにすぎず、輸出先の多角化も進んだため、貿易戦争の影響は「限定的」とする見方を伝えた。市場内で目立つのは中東やアフリカから訪れたバイヤーで、米国人の姿はほぼ見当たらない。多くの店主から「政府は米国と最後まで戦うべきだ」といった強気な声が聞かれた。
 しかし、先の玩具店の女性は「米国の顧客は値下げ要求が厳しくないため、利益率が高い」と説明。現在は欧州へ営業攻勢をかけているものの、対米出荷が半年停止すれば、「廃業につながる可能性がある」と顔を曇らせた。
 米金融大手ゴールドマン・サックスは4月、中国全土で対米輸出に従事する人が約1600万人に上ると推計。国内景気の冷え込みが続く中、トランプ関税は中国の労働市場にマイナスの影響を与える恐れがあると警告した。
 別の玩具店の店主は、義烏市場に納入する江蘇省の玩具工場で労働者のリストラが始まったと打ち明けた。「理不尽な関税だが、(中国政府は)米国と交渉を行い、関税の引き下げにつなげてほしい」と語った。 
〔写真説明〕中国浙江省義烏にある世界最大級の卸売市場「義烏国際商貿城」に入居する玩具店=25日

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