まさに万札を燃やして飛ぶ!! F-15戦闘機「衝撃の燃費」とは ”大メシ喰らい”=平和のコストか

日々、日本の空を守り続けている航空自衛隊の戦闘機。スクランブルの際にはいち早く駆け付けますが、1回の任務でどれぐらいの燃料を使うのでしょうか。調べてみたら、燃費は驚愕の数値でした。

速い! だけど燃費は最悪

 我々、一般市民が日常的に気にする経済問題のひとつにガソリン価格が挙げられるでしょう。

 昨今は、ウクライナ戦争の長期化や円安水準の持続などによってガソリン価格が高止まりしており、一般の自動車ユーザーなら1リットルあたりの燃費を気にせざるを得ません。また、自動車を保有していなくともあらゆる物品は輸送コストが加算されているので、これもまた無縁ではいられません。

 環境に配慮した低燃費技術が求められるなか、その対極に位置する存在があります。それがジェット戦闘機です。戦闘機の燃料消費は尋常ではありません。実際の燃費はどの程度なのでしょうか。

 航空自衛隊の主力戦闘機といえるのが、約200機運用しているF-15J「イーグル」です。同機は、すでに初飛行から半世紀以上が経過していますが、いまだ世界屈指の空戦性能を誇ります。その優秀性を支えているのが、強力な推力を誇る2基のF100ターボファンエンジンといっても過言ではないでしょう。

 このエンジンは、ドライ推力(アフターバーナー未使用時)でそれぞれ約6.8トンの推力を発生させ、アフターバーナー使用時には約10.8トンにも達します。これにより、F-15はマッハ2.5の高速を誇りますが、それと引き換えに燃費は驚くほど悪いものとなっています。

 F100エンジンの燃費は公開データであり、それをもとに計算すると、F-15はアフターバーナー使用時には毎秒15.5リットルの燃料を使用することがわかります。航空自衛隊では「JP-8」と呼ばれる航空燃料を使用していますが、これは一般的なジェット旅客機と同じ燃料で、もっと簡単にいうと市販されている灯油とほぼ同じ成分です。

 2025年2月現在、灯油1リットルあたりの価格は120円ですから、この価格をもとに計算すると、F-15はアフターバーナー全開時に1秒間で1860円分の燃料を燃やしていることになります。つまり、たった1分程度飛ぶだけで11万1600円にもなります。まさに万札を燃やして飛んでいるイメージです。

機内には約100万円分の燃料を搭載

 また恐ろしいのは、F-15は1秒間に15.5リットルの燃料を使うのに機内燃料は7836リットル「しか」ないことです。「しか」とは言ってもドラム缶約39本分にもあたる量ですが、約94万円分の燃料を燃やし尽くすのに、わずか約8分半しか必要としません。

 もちろん、戦闘機は常にアフターバーナーを使用しているわけではなく、通常の巡航飛行では燃費を抑えながら飛ぶので、数時間にわたり滞空可能です。増槽を3本搭載した場合の燃料搭載量は1万4600リットルで航続距離は約4600kmなので、最も効率よく飛行した場合は1リットルあたりの飛行距離は315mになります。

 やはりF-15の燃費は膨大であり、1回のスクランブル発進(緊急発進)で2機が飛行し(必ず外部燃料タンクを携行している)機内燃料をすべて使うと仮定すると、燃費だけでも200万円規模になる計算です。これが戦闘機を運用するうえでの「最低限」のコストであり、また厳然たる現実です。

 SDGs(持続可能な開発目標)を推進する現代社会において、戦闘機の燃費は極めて時代錯誤に映るかもしれません。しかし、国防とはコストを度外視してでも成し遂げなければならない任務です。戦闘機の燃料消費が膨大であることは事実ですが、それは単なる浪費ではなく、領空を守るための必要経費だと言えるでしょう。

 結局のところ、戦闘機の燃費とは「平和のコスト」そのものだと言えるでしょう。我々が安心して日常を過ごすためには、F-15のような燃費を度外視した存在が不可欠です。

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