
2023年1月8日からNHK総合で大河ドラマの新作『どうする家康』が放送されます。家康が天下統一を確実にしたのが1600年の関ケ原の戦いですが、この地域は過去何度も大きな戦いが勃発。その理由は、交通の要衝という地理的条件に関係しています。
戦国時代以外にも戦いがあった関ケ原
2023年1月8日からNHK総合で大河ドラマの新作『どうする家康』が放送されます。大河ドラマで徳川家康が主人公となるのは3度目で、今回は松本潤さんが演じます。
その家康がほぼ天下を確定したのが、1600年10月に家康率いる東軍が石田三成を中心とした西軍に勝利した関ケ原の戦いです。実はこの戦いが行われた、現在の岐阜県不破郡関ケ原町あたりでは、それ以前にも古代に発生した壬申の乱や、前回の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』でスピード決着したことでも話題となった承久の乱でも戦闘が起きており、日本の行方を決める大きな決戦の舞台になっています。なぜ、この地域で戦闘がたびたび起きたのか、それは、地域の交通事情から知ることができます。 関ケ原は、伊吹山地と鈴鹿山脈の切れ目にある、周辺では数少ない開けた場所です。同地は、673年から不破の関と呼ばれる関所が置かれ、古くから中山道・北国街道・伊勢街道の分岐点にあたり、東国と西国をわける交通の要衝でした。そのため、西と東の大勢力、どちらから見ても通り道が限られ、最も迎撃しやすい地点として、この地域がたびたび戦場になったのです。 特に京都をはじめ、近世まで首都機能や産業の中心が置かれていた畿内へ入る大軍を撃退する場合は、ここを抜かれると西側は防衛拠点が少なく、かなり不利な状態となってしまいます。なんとしても、ここで雌雄を決する必要があったのです。
今は主に雪との戦が続いている!
現在でも、この地は交通の要所で、国道21号、名神高速道路、東海道新幹線などの主要幹線が通っています。
そしてこの地域は、交通の要所であると同時に世界屈指の豪雪地帯としても知られています。東海道新幹線は1964年10月に東京~新大阪間で開通しましたが、その翌年1月には既に、関ケ原付近で走行中の車両の窓ガラスにひびが入ったり、床下タンクが破損したりする事故が起きています。 これは、高速で走行する際に巻き上げられた雪が車両の下に付着し、氷の塊となって落下する際に線路下の小石を飛散させることが原因でした。そのため、新幹線は積雪時に減速運転をする必要があり、冬場のダイヤを乱す主要因となっていました。 この問題を解決すべく、米原・関ケ原地区には68.5kmにわたりスプリンクラーが設置されているほか、2016年には、積もった雪を排除するブラシ車も導入されています。 新幹線だけではなく、国道21号の方も大雪時の通行止めによって、周辺で交通渋滞が発生し、住民の生活に大きな支障が出ていたことから、関ケ原古戦場の付近より国道365号線に接道するバイパスが通っています。また、名神高速道路の関ケ原ICでも、大雪による通行止めが起きることがあります。人同士は戦わなくなりましたが、同地での自然との戦いは続いているようです。※一部修正しました(1月8日11時20分)