
葉酸の名が広く知られるようになったのは、妊活中の女性や妊婦対象に、国が葉酸を積極的に摂るように推奨したのがきっかけとなりました。胎児の体を作るのに欠かせない葉酸は、不足すると先天性障害のリスクが高まります。しかし葉酸の摂取量が不足している妊婦は多く、障害リスクを減らすために、サプリメントで葉酸を摂取することが勧められています。
葉酸不足が胎児の発育に影響
お腹の胎児が順調に育つためには、多くの葉酸(葉酸とはどのような成分?)が必要となります。葉酸の不足は胎児の発育に影響し、神経管閉鎖障害を招く恐れがあります。こうした理由から、2000年に当時の厚生省が、妊活・妊娠中の女性を対象に、葉酸の不足分をサプリメントで補うことを推奨しました。しかし、現在も葉酸をサプリメントで摂取している妊婦は10〜20%にとどまり、胎児の障害発症率は減っていないそうです。日本先天異常学会では新たに、妊娠を計画する女性・妊婦に対し、葉酸をサプリメントで摂取するよう呼びかけを行っています。
特に妊娠初期に摂っておきたい葉酸
葉酸は体内で赤血球の合成に必要なほか、細胞の増殖を助け新陳代謝や成長を促すことから、胎児や幼児にとって欠かせない栄養素です。特に胎児においては、妊娠初期に神経管が作られるため、葉酸が不足していると脳や脊髄に障害が起こりやすくなります。二分脊椎や無脳症といった神経管閉鎖障害が発症するのは、妊娠6週頃と言われており、妊娠1ヶ月前から妊娠3ヶ月にかけて十分な葉酸を摂取することが大切です。この時期に必要な葉酸の量は、健康な成人の葉酸目安量の2倍と言われています。妊婦が必要とする葉酸を食品のみから摂るのは、容易なことではありません。葉酸は水溶性ビタミンで熱に弱く、また体内に溜めておくことができないため毎日摂る必要があります。そのためサプリメントを利用するのが効率的であり、簡単に必要十分量が摂取できるのです。
妊活開始と同時に葉酸サプリを始めるのがベスト
胎児の神経管閉鎖障害のリスクを下げるために、国では妊娠1ヶ月前から、普段のバランスの良い食事に加え、1日0,4mgの葉酸サプリメントを摂取することを推奨しています。妊娠1ヶ月前からとのことなので、妊活を始めた時点で葉酸サプリメントを摂り始めるのが良いでしょう。食事からも十分に摂りたい葉酸は、野菜や果物に多く含まれています。熱に弱い葉酸を効率よく摂取するには、野菜や果物を生のままいただくのがよいでしょう。新鮮なうちにサラダやジュースにしたり、また葉酸と一緒にビタミンCやビタミンB12を摂るようにすることで、体内での葉酸の働きがアップします。葉酸は妊婦だけでなく、全ての人にとって必要です。葉酸不足(葉酸の欠乏症)は様々な体の不調をもたらします。毎日しっかり摂るようにしましょう。
writer:Akina