産休・育休中の社会保険や税金について

産休・育休中の税金について
産休・育休の手続きも完了し出産にまつわる手当金の申請も済ませ、あとは我が子の誕生を待つばかり…と思いきや「そういえば税金はどうなるのだろう…?」という疑問が湧く方もいるでしょう。収入が減ってしまうこの期間、不安になりますよね。
産休・育休中は各種税金がどう扱われるのかまとめました。

産休・育休中の所得税は引かれない
「所得税」とは毎月の給料に対して課される税金です。
つまり、仕事をしていた頃は毎月の給料から天引きされていたはずです。
産休・育休中はどうなるかというと、会社から給料を受け取っていないので「無給」となり所得税は発生しません。
ちなみに出産手当金や育児休業給付金は給料ではないため、課税対象になりませんのでご安心を。

住民税は産休・育休中も払い続ける必要がある
「住民税」は、当年年収をもとに決定した税額を翌年に収めることになっています。
つまり、産休・育休中は、仕事をしていた”前年の収入に対する住民税”を支払う必要が出てくるのです。
現在の状況(産休・育休、または退職した)に関わらず、前年収入が一定以上あった場合は払い続けることになります。逆に言うと、今年収入がゼロになれば、来年度の負担は軽くなります。

産休・育休中の社会保険はどうなる?
社会保険とは、厚生年金保険・健康保険・雇用保険を指します。
こちらも、これまでの給料明細を見てみると分かるように毎月天引きされていたものです。それでは、産休・育休中はどうなるのでしょうか?

厚生年金保険と健康保険は免除される
産休・育休中は、厚生年金保険と健康保険どちらも免除になります。
免除されていても納付記録は残り、受取年金が減額されることはありません。さらに、免除期間中の被保険者資格が変更されることもないという有難い制度です。
ただし、産休・育休を開始したからと言って自動的に免除される訳ではなく、必ず申請が必要になります。
申請書は会社を通して提出され、被保険者とともに会社も保険料免除となります。
年収に応じて保険料は異なりますが、年間数十万円の免除額に上ることもありますので、忘れずに申請することをお勧めします。

雇用保険も無給であれば免除される
雇用保険も給料から天引きされているため、無給であれば支払う必要はありません。
もし、会社から給与という形で支払いがある場合はこれまでと同じように天引きされることになります。

産休・育休中の扶養について
共働き夫婦でも、妻が仕事をしていない産休・育休中は、妻が夫の税金の扶養に入ることが出来るのです。
すると「配偶者控除」や「配偶者特別控除」を夫が使えることになるので、結果的に節税になります。
共働き家庭では夫婦共に103万〜141万円以上の収入があることが多く、そもそも配偶者控除や配偶所特別控除とは無縁だと思っていませんでしたか?
妻が産休・育休中で収入がそれ以下になっていれば、これらの控除を受けることが出来るのです。そして、出産手当金・出産育児一時金、育児休業給付金は、会社から支払われる給料ではないので年収には含まれません。
ぜひ、控除を利用して年5〜7万円の節税に繋げましょう。

ちなみに、税金に関して夫の扶養になったとしても、健康保険は自分(妻)の健康保険に加入したままで問題ありません。税金の扶養と保険の扶養は別物として考えることができるからです。
保険料免除の権利も継続でき、出産育児手当金などは自分の加入している健康保険組合から支払われることになります。

産休・育休中の住民税について
上記のように、住民税は前年の収入にたいして課税されるので、産休・育休中でも支払う必要があることをお伝えしました。収入が減ると分かっているこの期間に、見落とすことのできないお金の不安ですよね。
会社に勤務していた時は、給料から天引きされる「特別徴収」という納め方をしていましたが、会社からの給料がなくなると、役所から直接納税書が送られてくる「普通徴収」に切り替わります。何ともドキッとする瞬間です。
自治体によって異なる場合もありますが「普通徴収」では大抵1年分を4期に分けて納入することになります。6月、8月、10月、1月のパターンが多く4枚の納税書に書かれたそれぞれの月の期限日までに納めます。一括で納めても問題ありません。
1期当たりの金額が数万円になる場合もあり、一括ではかなりの金額に…。
心の準備が必要ですね!

さて、住民税には「特別徴収」「普通徴収」以外の支払い方法もあるようです。
会社によって対応は様々ですが、代表的な二つのパターンを紹介します。

産休前の給料から天引きされる
会社があらかじめ産休・育休中の住民税を計算し、休業に入る前の給料から天引きするというパターンがあります。
先に支払ってしまうことで、気持ちの面では楽になるかもしれませんね。

仕事復帰後に給料から天引きされる
もう一つは、休業中の住民税を会社が一時的に立て替え、復帰後の給料から天引きされるというパターンです。
休業中、会社からマイナスの給料明細が送られてくることもあるとか。

育休・産休中の社会保険と税金のまとめ
産休・育休中に免除される、または支払う必要のないものは

・所得税
・厚生年金保険・健康保険
・雇用保険

そして、支払う義務のあるものは
・住民税(前年度収入課税分)
ということが分かりました。

産休・育休中は負担の減る一方で、決して金額の低くない住民税の支払いがあります。
出産手当金や育児休業給付金など有難い手当もありますので上手に利用したいですね。
ただし、これらの手当てがいつ受け取れるのか?なども明確にしておきましょう。
突然の出費に困ることのないよう、事前の情報収集と準備が必要ですね。

(文・亀山 美千代)

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