畑で1日限定レストラン

北海道の夏は短いと言われるが、雪が解ければその後はスギ花粉がないので外で過ごすのに快適な季節が始まり(4月くらい)、雪が降る前(11月くらい)までの予想以上に長い期間、気持ちよくアウトドアが楽しめます。

この期間中で特に印象深かったのが、コープさっぽろ主催の「畑でレストラン」です。2012年からスタートした企画で、生産者が丹精込めて育てた食材を、気鋭のシェフたちがオリジナルのキッチンカーで料理し、畑に設置されたレストランで食す、1日限りの贅沢なランチ・レストラン企画です。

会場となる畑は、『消費者の目線で優れた第1次産業の生産者を応援する』という日本初となるコンセプトを掲げ、2004年にスタートしたコープさっぽろ農業賞受賞者の畑です。

5回目となる2016年の畑でレストランは、6月5日から10月16日まで合計21回の開催。札幌市内を始め、札幌から車で1時間位の場所での開催が多い。基本的には現地集合現地解散だが、札幌から3~4時間程度かかるような遠方での開催の場合には直行バスが出ます。

料金は一律5000円のお土産付。5月2日から受付開始され、2週間以内には2016年開催分の約95%が満席になる人気企画です、レギュラー企画以外にも、スピンオフともいうべき、「畑でレストランX まち」という企画もあります。

文字通り、「畑でレストラン」なので、天候によっては畑のビニールハウスの中にテーブルがセッティングされたりしますが、筆者が参加した際は風もなく、暖かく、気持ちの良い晴天に恵まれましたた。道北の和寒町(わっさむちょう)で特産品のかぼちゃ畑を見学し、三浦綾子氏の小説「塩狩峠」で有名な塩狩に移動。北海道イタリアンの第一人者、テルッツィーナの堀川シェフと、地元和寒、冬音の南シェフの競作によるランチを、JR宗谷本線 塩狩駅のホームにセッティングされたレストランでいただきました。

いただいたメニューは以下の通り。
【和寒町 冬音 南シェフ】
かぼちゃ団子沢煮椀、神無月紅葉八寸

【トラットリア・ピッツェリア・テルッツィーナ 堀川シェフ】
和寒野菜の新米リゾット
道産牛ヒレのロースト グリーンソース
かぼちゃのタルト&ジェラート
コーヒー

※お土産は、摘みたてバジルと名産かぼちゃの種を使ったジェノベーゼの瓶詰

 

見た目にも美しい秋の彩り満載の和食。濃厚な味の和寒野菜の旨みを、昔から地元で作られている米(現在主流の銘柄の米粒より少し小さい粒)にしっかりとしみ込ませたリゾット。道産牛ヒレは低温でじっくりローストされ、しっとり柔らかい。
特産品のかぼちゃで作られたタルトとジェラートのデザートは、一般的なかぼちゃと比べて少し黄色がかった色で、さっぱりこっくりとした甘みが本日の締めにふさわしかったです。

通常、我々はレストランでシェフに食事の感想と感謝を伝えることはあっても、その食材の生産者と一緒に料理を楽しむことはない。しかし、実際に畑を見学して生産者の話を聞いた後で食事を共にし、食事の後には、受け手である我々の感謝や料理に対する具体的なそれぞれの感想を直接生産者やシェフに伝えることができました。作り手と受け手の距離が近づくことで生まれたその場の空気感。これまでに経験したことのない気持ちの高揚感と、心地よい幸福感に包まれた贅沢な経験です。

筆者:澤口美穂。カナダへのワーキングホリデー、グアテマラ留学含め、約2年半北米、中米、南米を中心に周遊。帰国後、ヨーロッパ本社の外資系企業日本法人2社で合計20年間勤務し、アジア、ヨーロッパへ数多く出張。20代からの訪問国数は約30か国以上。平成28年、生活拠点を東京から札幌に移す。様々な国の人々と共に働いてきた経験や自分の想いを形にした新しいビジネスと人生のセカンドステージを構築中。

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