虫歯や歯周病が原因で歯が溶けてしまうのは誰しもが知るところではありますが、これら虫歯や歯周病に次ぐ第3の疾患、酸蝕歯によっても歯は溶けてしまうことはあまり知られていないものです。虫歯や歯周病でなくとも歯が溶けてしまう酸蝕歯の原因について紹介しましょう。
酸蝕歯とは
わたしたちの歯の表層部分、通称エナメル質は硬い組織なのでそう簡単に削り取られることはないのですが、身体の内外から来る酸によって歯が溶かされ、歯が薄くなってしまうことがあります。これが「酸蝕歯」と呼ばれるものです。酸蝕歯の自覚症状としては、冷たいもの熱いものを飲食したときにしみる、歯が薄くなった結果象牙質が透け歯が黄色く見える、歯が以前よりも丸みをおびているように見える、歯に艶がない、歯の表面に小さなへこみがある、詰め物被せ物が取れやすい、などなどです。これらに自覚のある方は酸蝕歯となっている可能性が指摘されます。
酸性の高い飲食物が酸蝕歯の原因となる
酸蝕歯は胃液の逆流によっても起こることはありますが、現代人に多いのは酸性の高い飲食物が原因となって起こるものです。というのも現代人は酸性度の高いコーラやスポーツドリンク等の清涼飲料水を多く飲み、健康志向の高い人においては黒酢を原液で飲んだり、グレープフルーツを多く食べたりするためです。酸性度の高い飲食物を多く口の中に入れていれば、いかに虫歯や歯周病に気を使っていても歯は溶けてしまいます。ましてや酸蝕歯に対する対策さえ講じていないわたしたちが酸蝕歯から歯を守ろうというのが無理な話です。
酸蝕歯はちょっとした意識・対策で抑えられる
酸蝕歯を防ぐには、酸性度の高い飲食物に歯を長時間さらさないことが重要になります。そのため第一に酸性度の高い飲食物の過剰摂取は控える、そして口の中の酸を中和させることを心がけておきましょう。口の中の酸を中和させるには、ガムを噛むことで唾液を分泌させる、小さじ1杯程度の重曹を溶かした重曹水でよく口をすすぐといった方法があります。唾液や重曹水はアルカリ性で、酸を中和させる働きがあるためです。中和とはいかずとも、水や緑茶等で口をすすぐだけでも一定の効果は得られます。これらを心がけておくだけでも歯の酸蝕を最小限に止めることができます。
歯科医の先生によると、酸性度の高い飲食物を摂取した後は歯の表面が柔らかくなっているため、唾液が酸を中和させるまでの30分程度は、歯をみがくまで時間を空けておくよう推奨するとのことです。普段酸性度の高い飲食物を口にいれる機会が多い方は、酸蝕歯を抑える意識・対策を心がけておきたいところです。
writer:サプリ編集部