【ベルリン、イスタンブール時事】国際原子力機関(IAEA)理事会は、20日に開かれたウィーン本部での会合で、イランに対して核査察を全面的に受け入れるよう求める決議を賛成多数で採択した。イランのアラグチ外相はこれに反発し、限定的に再開したIAEAとの協力体制を打ち切る方針を示した。
決議は、イランに「核物質の保管場所や分量を含む核施設に関する詳細な情報を遅滞なく提供し、IAEAによる検証のためのあらゆる立ち入りを認める」よう要求した。米英仏独が共同で提出した。理事35カ国中、中国とロシア、ニジェールが反対した。
イランは6月にイスラエルと米国から核施設を攻撃されて以降、重要施設への査察を認めていない。核爆弾10個分に相当する分量の高濃縮ウランの所在も不明なままだ。
イラン外務省によると、アラグチ氏は決議を提出した米欧諸国が「IAEAの信頼性と独立を損ない、イランとの協力を混乱させた」と非難。IAEAとの新たな協力体制に関する9月の合意について、無効になったとする書簡をグロッシ事務局長に送ったと明らかにした。

