【北京時事】高市早苗首相の台湾有事に関する国会答弁を巡り、中国の習近平政権が強硬姿勢を一段と強めている。19日には日本産水産物の輸入を再び停止することが明らかになった。習政権は報復をエスカレートさせる方針も示しており、高市政権に譲歩を迫る構えだ。
中国外務省の毛寧報道局長は19日の記者会見で、改めて高市氏に発言撤回を要求。「さもなければ、中国側はさらなる措置を講じざるを得ない」と新たな報復の可能性を示唆した。同日付の共産党機関紙・人民日報も論評で「日本は大きな悪事を犯しており、必ずしっぺ返しを食うだろう」とけん制した。
習政権は、国民に日本への渡航を避けるよう呼び掛け、留学計画も慎重に判断するよう注意喚起した。訪中団や日本映画の上映も、延期に追い込まれている。日本側は呼び掛けの撤回などを求めているが、それには応ぜず、新たな対抗策を打ち出した形だ。
18日に北京で開かれた外務省の金井正彰アジア大洋州局長と中国外務省の劉勁松アジア局長の協議では、終了後、劉氏が報道陣の取材に「(協議内容に)当然満足していない」と表明。協議は事態打開につながらず、対立解決の糸口は見えていない。
中国は2010年の沖縄県・尖閣諸島沖での漁船衝突事件を受け、レアアース(希土類)の対日輸出を事実上停止した。12年の尖閣諸島国有化の際には、各地で大規模な反日デモが発生して日系百貨店などが襲撃されたほか、日本製品の不買運動も起きた。
習政権は台湾問題を「核心的利益の中の核心」と位置付けており、一歩も譲らない姿勢だ。今後、日本側の出方を見極めながら新たなカードを切る方針とみられる。
〔写真説明〕中国の習近平国家主席=12日、北京(AFP時事)

