神戸市の草むらで2023年、スーツケースから穂坂修君=当時(6)=の遺体が見つかった事件で、傷害致死と死体遺棄の罪に問われた母親の沙喜被告(37)ら姉妹3人の裁判員裁判の初公判が19日、神戸地裁(松田道別裁判長)であった。同被告は罪状認否で「間違いありません」と述べ、起訴内容を認めた。
叔母の朝美被告(32)も起訴内容を認めた一方、朝華被告(32)は叔父の大地被告(34)=同罪などで起訴=に逆らえなかったと説明。3人の弁護側は、いずれも大地被告との主従関係について争う姿勢を示し、朝華被告については無罪を主張した。
大地被告は3人への傷害罪などでも起訴され、公判が分離されている。初公判期日は決まっていない。
冒頭陳述で検察側は、3人が大地被告の指示で、修君の体を押さえ付け、鉄パイプで背中を殴るなどの暴行を加えたと指摘した。その上で、3人は行為の違法性を認識しており、外部に助けを求めることもできたと主張。「大地被告から暴力を受けないために修君を犠牲にした」と述べた。
弁護側は、大地被告の暴力により3人が精神的に支配されていたと説明。修君への暴行を止めようとすると、大地被告が機嫌を損ねて修君と3人への暴行が激化するため反発できなかったとした。朝美被告の弁護人は、「警察や近隣住民は大地被告の味方で助けてくれない」と思い込まされていたと訴えた。
起訴状などによると、4人は共謀し、23年6月19日、神戸市西区玉津町の自宅で修君を暴行して死亡させ、遺体をスーツケースに入れて近くの草むらに遺棄したとされる。
〔写真説明〕神戸地裁=神戸市中央区

