【ビエンチャン時事】ラオスを訪問中の天皇、皇后両陛下の長女愛子さまは、不発弾問題を啓発する施設「COPEビジターセンター」を19日に視察される。同国には、ベトナム戦争中に米軍から激しい空爆を受けた過去がある。200万トン以上の爆弾が投下され、人口1人当たりに換算すると世界最悪。不発弾がいまだに残り、被害が続く。
ラオス国内には、北ベトナムから南ベトナム解放民族戦線(ベトコン)への補給路「ホーチミンルート」があったことなどから、米軍が広範囲に空爆した。
ラオスの不発弾処理国家統制機構がまとめた2024年の統計などによると、ベトナム戦争中の1964~73年に米軍が行った空爆は約58万回、投下された爆弾量は200万トン以上。多数の「子弾」をばらまく仕組みのクラスター弾に限ると、約2億7000万発が落とされ、3分の1の8000万発が不発弾になったと推計される。
不発弾の爆発による被害は後を絶たず、11~24年の死傷者は計644人。24年は9人が死亡し、40人が負傷した。
これまでに計約200万発が処理されたが、完全な除去の見通しは立たず、ラオス政府機関や国際NGOなどの活動は続く。日本の団体では認定NPO法人「日本地雷処理を支援する会」が06~23年に現地に入っており、日本のメーカーが開発した世界初のクラスター子弾処理機も導入した。
クラスター弾禁止条約(オスロ条約)が10年に発効され、締約国は10年以内に爆弾を除去する義務を負ったが、ラオスは2回延長。30年までが目標となっているが、現地で計8年活動した同会の亀井英紀さん(46)は「量は膨大で、先はまだ長い」と話し、目標のさらなる延長もあり得るとみている。
亀井さんは「今年は日本とラオスの外交関係樹立70周年の節目。愛子さまの施設訪問を機に、日本でも多くの人に不発弾問題を知ってもらえれば」との期待を寄せる。
〔写真説明〕ラオスで見つかったクラスター弾の「子弾」。安全化されている=10月29日、東京都千代田区
〔写真説明〕取材に応じる認定NPO法人「日本地雷処理を支援する会」の亀井英紀さん=10月29日、東京都千代田区

