中国の新型空母、台湾作戦想定か=習政権、海軍力強化にまい進

 【北京時事】中国軍の3隻目の空母「福建」が就役した。艦名の由来となった福建省は台湾の対岸に位置し、習近平国家主席が長く勤務したゆかりの地。習政権は「核心的利益の中の核心」と位置付ける台湾の統一に向け、米軍の干渉を排除したい考え。福建はその戦略の一翼を担い、米国や台湾、日本ににらみを利かせるとみられる。
 中国の国営メディアは7日、南シナ海に面した海南島・三亜の海軍基地で5日に福建の就役式典が開かれたと報道。共産党機関紙系の環球時報は、「空母3隻時代の到来は、世界の海洋覇権の組み替えに大きな影響を与える」と論評した。海軍の報道官は8日、福建は三亜の基地を母港とし、当面は試験や訓練を続けると明らかにした。
 習政権は台湾の武力統一も辞さない構えで、有事の際には米軍の海からの接近を断固阻止するのが基本戦略。西太平洋の小笠原諸島と米領グアムを結ぶ「第2列島線」を防衛ラインと位置付けているとされる。
 最近は西太平洋での軍事行動を活発化させており、今年6月には、空母「遼寧」と「山東」が初めて同時に活動しているのが確認された。第2列島線を越えるなどしており、米軍を迎え撃つ想定で演習を行ったという見方がある。
 福建の就役で、遠海への進出をさらに強める公算が大きい。福建は、中国の空母として初めて電磁カタパルトを搭載。遼寧、山東ではできなかった早期警戒機「空警600(KJ600)」の発着艦が可能で、情報収集の範囲が飛躍的に広がる。最新鋭ステルス戦闘機「殲35(J35)」も配備し、「遠海で攻撃・防御を一体化した作戦ができるようになる」(中国の軍事専門家)という。
 中国軍は昨年12月、福建と同じく電磁カタパルトを備える新型の強襲揚陸艦「四川」も進水させた。4隻目の空母も建造中とされ、原子力型になるとの見方もある。習政権は「世界一流の軍隊建設」を目指し、引き続き海軍力強化に注力する構えだ。 
〔写真説明〕中国軍3隻目の空母「福建」=9月11日、沖縄県・尖閣諸島沖の東シナ海(防衛省提供)

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