国内外の自動車メーカーなどがモビリティー(移動手段)に関する製品・技術を紹介する「ジャパンモビリティショー」が30日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開幕する。報道陣に公開された29日は、トヨタ自動車が最上位ブランド「センチュリー」の試作車として、オレンジ色のクーペを披露。期間中、500超の企業・団体が「近未来の社会」を念頭に次世代技術やデザインを展示する。
センチュリーの試作車は、シートや内装に西陣織、輪島塗といった日本の伝統技術を採用。グローバル市場への投入も視野に入れる。トヨタの豊田章男会長は「日本を背負って生まれた最高峰にして別格の車」と、日本メーカーとして誇れる車であると強調した。
移動手段として自動車を存続させるためには、地球環境との共存を意識しつつ、顧客のニーズへの対応も不可欠。トヨタが公表したファミリーカーの代名詞「カローラ」の試作車では、電気自動車(EV)やハイブリッド車といった幅広い選択肢を提示した。
ホンダは、新EVシリーズの「ホンダ 0 α(ゼロアルファ)」の試作車を公開。「薄い、軽い、賢い」を掲げ、車高を抑えデザイン性を重視しつつも、室内空間を確保した。三部敏宏社長は「ゼロベースでお届けする次世代EV」と胸を張る。マツダは二酸化炭素(CO2)回収装置を搭載したスポーツクーペの試作車を展示。毛籠勝弘社長は「マツダはマルチソリューション(を目指す)。いろいろな技術を開発することで、将来の選択肢ができる」と話した。
スズキの鈴木俊宏社長は、軽乗用EV「ビジョン・イースカイ」の試作車を前に「生活の足」として「お客様の毎日に寄り添う」と強調した。
海外勢では、中国のEV大手、比亜迪(BYD)が軽の乗用EV「ラッコ」を公開。同社が初めて日本専用に設計したモデルで、「BYD JAPAN」(横浜市)の劉学亮社長は「日本にフルコミットしていく」と力を込めた。韓国からは、来春の日本への本格参入を控えるキア(起亜)がEVの中型バン「PV5」、親会社の現代自動車が来年上半期に日本で発売する水素電気自動車を披露した。
〔写真説明〕ジャパンモビリティショーで「センチュリー」の試作車を紹介するトヨタ自動車の豊田章男会長(右)=29日午前、東京都江東区
〔写真説明〕ジャパンモビリティショーに展示されたトヨタ自動車の「カローラ」の試作車=29日午前、東京都江東区
〔写真説明〕ジャパンモビリティショーに展示されたマツダの二酸化炭素回収装置を搭載した「VISION X―COUPE」=29日午後、東京都江東区
〔写真説明〕ジャパンモビリティショーに展示されたホンダの「Honda 0 α(ゼロアルファ)」の試作車=29日午前、東京都江東区
〔写真説明〕「ジャパンモビリティショー」で、「Vision e―Sky」と写真に納まるスズキの鈴木俊宏社長=29日午前、東京都江東区

