
【ワシントン時事】トランプ米大統領は17日、ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領とホワイトハウスで会談した。トランプ氏は会談後、ロシアとウクライナの双方に「現状の境界線」で停戦するよう呼び掛け、ロシアが占領しているウクライナ領の実効支配を事実上認める考えを示した。一方、ウクライナへの米国製巡航ミサイル「トマホーク」の供与については確約を避けた。
トランプ氏はSNSで「戦争と勇気によって境界線が引かれた。現状維持で止めるべきだ」と主張。さらに「双方に勝利を認めさせ、歴史に判断を委ねよ!」と訴えた。トランプ氏は16日にロシアのプーチン大統領と電話会談し、ハンガリーの首都ブダペストで会談することで合意しており、緊張緩和を優先する立場を鮮明にした。
ゼレンスキー氏は会談後、記者団に「私はトランプ氏に同意した」と説明。その上で「まずは停戦が必要だ。座って話し合い、現状を理解しなければならない」と述べ、停戦成立後にロシアと領土問題を協議する考えを明らかにした。
ゼレンスキー氏はトランプ氏との会談で、ロシアの広範囲を射程に収めるトマホークの供与を改めて要請した。しかし、トランプ氏は「トマホークのことを考えずに戦争を終わらせられることを望む」と表明。また、「米国もトマホークを必要としている。自国を守るために必要なものを渡すつもりはない」と語った。ゼレンスキー氏はトランプ氏との会談後、欧州主要国の首脳らと電話で対応を協議した。
ゼレンスキー氏は9月23日に米ニューヨークでトランプ氏と会談し、トマホークの供与を要請した。その後、トランプ氏は供与の意向を示唆したが、プーチン氏との会談を控え、急速にトーンダウンした形となった。
〔写真説明〕17日、ホワイトハウスでウクライナのゼレンスキー大統領(右)を迎えるトランプ米大統領(EPA時事)
〔写真説明〕17日、ホワイトハウスで会談するトランプ米大統領(右側中央)とウクライナのゼレンスキー大統領(左側中央)(EPA時事)