
埼玉県鶴ケ島市の高齢者施設「若葉ナーシングホーム」で入居女性2人が殺害された事件で、殺人容疑で逮捕された元施設職員木村斗哉容疑者(22)が事件当日、自宅から約23キロ離れた施設に自転車で向かった理由について「電車賃がなかった」と供述していることが17日、捜査関係者への取材で分かった。
木村容疑者は事件後、施設の近くで身柄を確保された際も金を所持していなかったといい、県警は2人を狙った動機などを調べる。
捜査関係者によると、木村容疑者は昨年7月、「体調が悪化した」と言って、約1年2カ月勤めた施設を退職した。勤務形態などを熟知していたとみられ、施設襲撃について「職員の少ない未明の時間帯を狙った」という趣旨の話をした。
2人の殺害を認め、「ベッドで寝ている女性の首を絞め、ナイフで胸の辺りを刺した」とも供述。死亡した小林登志子さん(89)と上井アキ子さん(89)の上半身には複数の刺し傷があったが、死因はいずれも頸部(けいぶ)圧迫による窒息死だった。
事件は15日午前2時ごろ発生。夜間巡回中の職員がそれぞれ5階と4階の自室で倒れていた小林さんと上井さんを発見した。木村容疑者は現場から逃走したが、施設から約250メートル離れた路上で同9時前に身柄を確保され、小林さんを殺害した容疑で逮捕された。
近くにあったバッグからは凶器とみられるナイフなどが見つかった。木村容疑者は「2人に恨みはなかった」と供述する一方、60人余りいた他の入居者は無事だった。
〔写真説明〕入居女性2人が殺害された高齢者施設「若葉ナーシングホーム」に入る捜査員ら=16日、埼玉県鶴ケ島市