
【ワシントン時事】米連邦最高裁は6日、新たな会期に入った。トランプ政権による高関税政策や、独立政府機関への人事介入などに関する是非が審理される。トランプ大統領が強硬な手法で政策を推し進める中、大統領権限を巡る最高裁の判断が焦点となる。
最高裁の会期は10月上旬に始まり、翌年の6月ごろまでに重要な判決を示す。
注目されるのは政権が打ち出した相互関税の合憲性に関する審理で、11月5日に口頭弁論が開かれる予定。トランプ氏は国際緊急経済権限法(IEEPA)を法的根拠に関税措置を発動したが、下級審は大統領の権限を逸脱しているとして違憲と判断した。最高裁も同様に認めれば関税措置は無効となる見通しだ。
トランプ氏が連邦取引委員会(FTC)の民主党系委員を解任した件は12月に審理が始まる。最高裁は1935年の判決で、大統領が政治的な理由でFTC委員を解任することはできないとの判断を示した。90年前の判例を覆すかどうかに関心が集まる。
クック連邦準備制度理事会(FRB)理事の解任問題や、不法移民らの子どもに対する出生地主義の適用廃止、トランスジェンダー選手の女子スポーツ参加禁止なども審理対象になる可能性がある。
現在、最高裁判事9人の構成は保守派6人、リベラル派3人。保守派が多数を占めていることもあり、今年に入ってからは政権寄りとされる判断を示すことが多い。複数の米メディアは今後もその傾向が続くとの見方を伝える一方、三権分立の意義が問われるとして「(一連の判断は)裁判所の信頼性を占う試金石となる」(ワシントン・ポスト紙)と指摘している。
〔写真説明〕トランプ米大統領=6日、ワシントン(EPA時事)