
【カイロ時事】トランプ米大統領が提示したパレスチナ自治区ガザでのイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘停止に向けた和平案に関し、ハマスは3日、声明を出し、ガザで拘束する人質全員の解放を「承認した」と発表した。その上で、「詳細を協議するための交渉に直ちに入る用意がある」と表明した。ただ、案に盛り込まれている武装解除を受け入れるかどうかは言及しなかった。
トランプ氏は3日、ハマスに対し、米東部時間5日午後6時(日本時間6日午前7時)までに和平案を受諾するか否か回答するようSNSで要求。ハマス側が合意しなければ「誰も見たことがない地獄が降りかかる」と警告していた。
ハマスの発表を受け、トランプ氏は「(ハマスに)和平を受け入れる用意がある」と評価。交渉仲介国のカタールは、エジプトと米国と協力し、協議継続に向けた取り組みを始めたと明らかにした。また、トランプ氏はイスラエルに即時のガザ攻撃停止を要求した。これに対し、イスラエル首相府は4日未明に声明を出し、「人質全員の即時解放に向けて和平案の第1段階を直ちに実施する準備を進めている」と発表した。同国メディアによると、政治指導部は軍に対して中心都市ガザ市制圧作戦の停止を命じた。
和平案では、ガザの戦後統治に関し、パレスチナ人らで構成される暫定委員会が行政を担い、トランプ氏が率いる「平和評議会」が同委員会を監督する枠組みが規定されている。ハマスは声明で行政面での実効支配を放棄することを承認したと説明した。一方、武装解除などの項目については「ガザの将来と譲ることができないパレスチナ人の権利」に関わるため、パレスチナ全体で議論する必要があるとして、態度を示さなかった。
〔写真説明〕3日、パレスチナ自治区ガザの中心都市ガザ市でがれきの上を歩く人々(EPA時事)