
【ニューデリー時事】2200人超が犠牲となったアフガニスタン東部の大地震から30日で約1カ月。厳しい冬の到来を控え、住まいを失った被災者からは不安の声が上がる。
「冬が来たら大きな問題に直面する」。甚大な被害が出たクナール州ヌルガル地区に暮らすアブドル・ワハブさん(33)は、地震で自宅が倒壊し、妻や息子ら家族5人を失った。残された親族といまだ仮設テントでの生活を余儀なくされる。
地震前、農業などで生計を立てていた。今は職を失い、自宅を再建できる見込みはない。イスラム主義組織タリバン暫定政権からのわずかな経済援助だけでは足りず、「国際社会も助けてほしい」と訴える。
山岳地帯のクナール州は、冬には氷点下20度を下回る日もある。仮設テントで越冬するには厳しい環境だ。
国連人道問題調整事務所(OCHA)は、被災地一帯では現在3000世帯以上が避難生活を送っていると指摘。気温が下がる中、避難所だけでなく屋外で寝泊まりを強いられる家族もいるとし、「防寒対策と避難所への支援が極めて重要だ」と訴えた。
一方、国連女性機関(UNウィメン)は、タリバンが今月上旬以降、首都カブールの国連施設への女性職員の立ち入りを制限したため、支援活動に支障を来していると明らかにした。
タリバンはこれまでもイスラム法の極端な解釈に基づき、頭部を覆うスカーフ「ヒジャブ」を着用していないことを理由に、国連やNGOで働く女性職員の出勤停止を命じたことがある。ただ、被災地で女性支援者が活動することは禁じていないという。
〔写真説明〕アフガニスタン東部クナール州ヌルガル地区に設置された地震被災者のための仮設テント=14日(AFP時事)