
【北京時事】中国の王毅共産党政治局員兼外相と北朝鮮の崔善姫外相は28日、北京で会談した。北朝鮮とトランプ米政権の間で対話機運が生じる中、中朝の戦略連携を深化させる方針で一致。「覇権主義」への共闘を掲げ、米国をけん制した。中国外務省が発表した。
王氏は「中朝関係の維持、強化は中国共産党と政府の揺るぎない戦略方針だ」と指摘した上で、国際社会における「いじめ」が深刻化していると主張。「あらゆる覇権主義に反対し、両国共通の利益を守っていきたい」と述べた。
崔氏は、実務協力を深め、中朝関係を「新たな水準」に押し上げていくと応じた。中国と「多国間連携」を進め「共同で単独主義と強権政治に抵抗していきたい」と強調した。北朝鮮と軍事協力を深めているロシアを交え、中ロ朝3カ国の結束を強めることで米国に対抗していく考えとみられる。
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は今月上旬、中国の「抗日戦勝80周年」記念日に合わせて北京を訪れ、約6年ぶりに習近平国家主席と会談した。崔氏はその際も同行しており、今月2回目の訪中となった。
中朝関係は、北朝鮮の急速な対ロシア接近などを背景に冷え込みが指摘されてきたが、習氏と正恩氏の対面会談を経て、改善の動きが本格化している。
北朝鮮を巡っては、トランプ大統領が正恩氏との早期の対話再開に意欲を示している。正恩氏も北朝鮮の非核化を前提としないなら対話は可能という認識で、今後の対米政策について中国側と意見を擦り合わせた可能性がある。
〔写真説明〕中国訪問に向け平壌を出発する北朝鮮の崔善姫外相(中央)=27日(朝鮮通信・時事)