
【サンフランシスコ時事】米西部カリフォルニア州サンフランシスコのデ・ヤング美術館で27日、芸術作品としての日本の漫画の魅力を伝える「アート・オブ・マンガ」展が始まった。「ONE PIECE(ワンピース)」の尾田栄一郎さんや「テルマエ・ロマエ」のヤマザキマリさんら、高い画力や物語性で海外でも高く評価されている8人の漫画家が手掛けた原画など600点以上の作品が公開される。
主催者によると、北米大陸で開催された漫画展としては過去最大規模という。印刷物や電子媒体では表現できない原画の迫力や繊細な描写を通じて、漫画の芸術性を理解してもらうことに力点を置く。会期は2026年1月25日まで。
会場は中心となる8人の漫画家一人ひとりに着目した展示室を設ける。「犬夜叉」や「MAO(マオ)」の高橋留美子さんの展示室では、実際のネーム(下書き)と完成した原画を見比べ、漫画の執筆プロセスを体験できる。「ジョジョの奇妙な冒険」の荒木飛呂彦さんの展示室では、ジョジョシリーズの主人公らを描いた手書きのパネルや、作画に使われたペンが披露される。
キュレーター(学芸員)を務めるニコル・ルマニエールさんは、出展されている谷口ジローさん作画の「孤独のグルメ」の主人公が作中で訪れた飲食店を実際に訪問し、独りで食事を楽しむほどの漫画ファン。19年に英国・ロンドンの大英博物館で開かれた日本の漫画展をキュレーターとして成功に導いた実績を評価され、美術館側から今回の展示の企画を担当するよう提案された。取材に「漫画家が手描きした原画や、制作のプロセスにも光を当てたかった」と話した。
〔写真説明〕米西部カリフォルニア州サンフランシスコで開かれた「アート・オブ・マンガ」展=27日
〔写真説明〕「アート・オブ・マンガ」展の展示作品=24日、サンフランシスコ
〔写真説明〕サンフランシスコで開催される「アート・オブ・マンガ」展のキュレーターを務めるニコル・ルマニエールさん=24日
〔写真説明〕「アート・オブ・マンガ」展で展示される漫画のネーム=24日、サンフランシスコ