パレスチナ承認、「反ユダヤ」にあらず=イスラエル国民に訴え―仏大統領

 【パリ時事】フランスのマクロン大統領がパレスチナの国家承認を22日に控え、イスラエル国民に対し、狙いは中東和平の実現であり、「反ユダヤ主義は関係ない」と理解を求めている。承認方針が7月下旬に発表された後、イスラエルのネタニヤフ首相はフランスの姿勢が「反ユダヤ主義の火に油を注ぐ」ものだと非難していた。
 これまでフランスを含む西側主要国は、パレスチナをイスラエルとの2国家共存に向けた取り組みの最終段階で承認する考えだった。しかしマクロン氏は、ネタニヤフ政権がイスラム組織ハマスの掃討にとどまらず、「パレスチナ人が平和に暮らす権利まで否定する」のではないかと懸念。国家承認を和平への起爆剤とする方針に転換した。
 一方、イスラエルではパレスチナとの共存を支持する人々の間でも、現段階の承認に否定的。時期尚早で、ハマスを利すると考えられている。
 マクロン氏はイスラエルのテレビ局が18日に放送したインタビューで、ハマスの目的は「イスラエルの破壊だ」と主張。パレスチナ自治政府の再建やハマスの武装解除を前提条件とした2国家共存とは相いれないとした上で、パレスチナの承認はハマス弱体化への「新たな行動を引き起こすプロセス(の始まり)だ」と強調した。
 ネタニヤフ政権がパレスチナ自治区ガザで続ける戦闘については、ハマス幹部を相次いで殺害しているが、戦闘員は補充され減っていないと分析。イスラエルの軍事作戦は「失敗」で、政治的解決以外に和平はあり得ないと訴えた。
 AFP通信によると、ネタニヤフ氏はマクロン氏に宛てた書簡で、パレスチナ国家樹立の呼び掛けが「ハマスのテロに見返りを与え、ユダヤ人憎悪に拍車を掛ける」と抗議。これに対し、仏紙ルモンドは社説で「反ユダヤ主義をあおっているのは彼(ネタニヤフ氏)だ」と批判している。 
〔写真説明〕フランスのマクロン大統領=3日、パリ(AFP時事)

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