
<住友生命Vitalityレディス 東海クラシック 初日◇19日◇新南愛知カントリークラブ 美浜コース(愛知県)◇6600ヤード・パー72>
打ち下ろしの最終18番パー4。フェアウェイからの残り108ヤードの2打目をピン手前3メートルにつけた。「いいのが入ったなぁ」。吉田鈴はバーディ締めに心の中でうなずいた。5バーディ・2ボギーの「69」は7月の「明治安田レディス」2日目の「69」以来、18ラウンドぶりとなる60台。首位と3打差の10位発進に「久しぶりに60台で回れてよかった。全体的に平均点より上でした」と満足そうにほほ笑んだ。
4度目の挑戦でプロテストに合格し、念願のプロ生活が始まった。デビュー戦の今季開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」は初日を2位で滑り出した。最終順位も15位と上々のスタート。5月の「ブリヂストンレディス」では初のトップ10フィニッシュとなる9位に入ったが、初めて経験する長丁場のツアーに、153センチ、48キロの華奢(きゃしゃ)な体は徐々に悲鳴を上げてきた。
「開幕のときに比べて体重は4キロくらい落ちています。睡眠とか食事には気を使っているつもりで、少し前まではとにかく量を食べるようにしていました。最近は質にこだわって、考えながら食べるようにしているけど、思っていた以上に大変で疲れは溜まっていますね」
7月下旬の「大東建託・いい部屋ネットレディス」から2週前の「ゴルフ5レディス」までの6試合では5度の予選落ちも経験した。「周りの人に比べたら体力はないと思うけど、練習を休めるほどうまくないから」とほぼオフはつくらず疲労はさらに蓄積していった。そんな悪循環を断ち切ったのが、前週の国内メジャー「ソニー日本女子プロ選手権」だった。
「自分からバーディを取りにいくことをやめました。がっつかず、無理はしない。そうやったら気持ちが楽になって、前はこういう感じでゴルフをしていたなぁと思い出したんです」
この日も淡々とプレーし、チャンスが来るのを待った。14メートルをねじ込んだ14番パー4からの終盤5ホールで3バーディ(1ボギー)を奪っての60台。フェアウェイキープ率は78.6%(11/14)、パーオン率は83.3%(15/18)とショットの精度も格段に上がった。
暫定リランキングは21位で、次週の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」終了後に実施される第2回リランキングは問題なくクリアできそうだ。シーズン終盤の出場資格を確保し、ここからはシード獲得を見据えた戦いとなる。メルセデス・ランキングは68位。「トップ10に入っていかないと(シードは)厳しい。でも、だからといって無理はしない。きょうのようなゴルフを続けていくことが大切だと思います」。静かに、そして確実にアクセルを踏み込んでいけば、実りの秋は必ず待っている。(文・臼杵孝志)