パレスチナ承認拡大へ=新たに英仏など、150カ国超に

 米ニューヨークで開会中の国連総会に合わせて、イスラエルとパレスチナが共存する「2国家解決」を巡る首脳級会合が22日に開かれる。パレスチナを国家として承認するのはこれまで147カ国だったが、22日の会合で英仏カナダなど7カ国が新たに承認する可能性が高く、150カ国を超える見通しだ。
 承認に動く英仏などは、パレスチナ自治区ガザでの人道危機深刻化を受け、軍事作戦を続けるイスラエルへの圧力を強めようとしている。承認国の増加はイスラエルの占領下にあるパレスチナの独立に直結するものではないが、国際社会でのパレスチナの立場を強化する上で一定の意義がありそうだ。
 パレスチナは1988年に「独立」を宣言。93年のオスロ合意を経て発足した自治政府の下、イスラエルとの交渉を通じた国家樹立を目指してきた。しかし、パレスチナのイスラム組織ハマスが対イスラエル武装闘争路線を放棄しないことなどを根拠に、イスラエルはパレスチナ国家樹立に向けた譲歩を拒否し続けた。
 和平交渉が行き詰まり、パレスチナは国際社会での承認を広げることで事態打開を目指す路線に軸足を移した。2011年の国連加盟申請は、拒否権を持つ米国が反対し手続きが棚上げされたが、翌年には国連総会で138カ国の支持を得て、国連の参加資格を「オブザーバー国家」に格上げすることに成功。これにより国際刑事裁判所(ICC)への加盟が認められ、昨年のICCによるイスラエルのネタニヤフ首相の逮捕状発付につながった。
 立山良司・防衛大名誉教授は「実体としての国家がない状態は変わらないが、パレスチナ承認の動きが広がることで、国連の各組織や、ICCなどへの加盟を可能にしてきた」と説明。「国連加盟国の圧倒的多数が、パレスチナを国家承認し2国家実現を求め続けることは、国際社会がイスラエルの占領政策を拒否する姿勢を示す上で極めて重要だ」と語った。 

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